割増賃金

(平成6年6月13日最高裁)

事件番号  平成3(オ)63

 

最高裁判所の見解

原審における当事者双方の主張からすれば、

上告人らの午前二時以後の就労についても、

それが上告人らと被上告人との間の労働契約に基づく

労務の提供として行われたものであること自体は、

当事者間で争いのない事実となっていることが明らかである。

 

したがって、この時間帯における上告人らの就労を、

法的根拠を欠くもの、すなわち右の労働契約に

基づくものではないとした原審の認定判断は、

弁論主義に反するものであり、この違法は、

判決に影響を及ぼすことが明らかなものというべきである。

 

そうすると、弁論主義違背をいう論旨は理由があり、

原判決は、その余の論旨について判断するまでもなく、破棄を免れない。

 

四 そこで、上告人らの本訴請求について判断するに、

本件請求期間に上告人らに支給された前記の歩合給の額が、

上告人らが時間外及び深夜の労働を行った場合においても

増額されるものではなく、通常の労働時間の賃金に当たる部分と

時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを

判別することもできないものであったことからして、

この歩合給の支給によって、

上告人らに対して法三七条の規定する時間外及び

深夜の割増賃金が支払われたとすることは困難なものというべきであり、

被上告人は、上告人らに対し、

本件請求期間における上告人らの時間外及び深夜の労働について、

法三七条及び労働基準法施行規則一九条一項六号の規定に従って計算した額の

割増賃金を支払う義務があることになる。

 

そして、本件請求期間における上告人らの時間外及び

深夜の労働時間等の勤務実績は、本件推計基礎期間の

それを下回るものでなかったと考えられるから、

上告人らに支払われるべき本件請求期間の割増賃金の月額は、

本件推計基礎期間におけるその平均月額に基づいて

推計した金額を下回るものでなく、その合計額は、

第一審判決の別紙2ないし5記載のとおりとなるものと考えられる。

 

したがって、これと同額の割増賃金及び

これに対する弁済期の後の昭和六三年一月二二日から

完済に至るまで年五分の割合による

遅延損害金の支払を求める上告人らの各請求は、

いずれも理由がある。また、上告人らは、

法一一四条(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)の規定に基づき、

右の各割増賃金額と同額の付加金及びこれに対する本判決確定の

日の翌日から完済に至るまで年五分の割合による

遅延損害金の支払を求めているが、

本件訴えをもって上告人らが右の請求をした昭和六二年一二月二五日には、

本件請求期間における右の割増賃金に関する付加金のうち

昭和六〇年一一月分以前のものについては、

既に同条ただし書の二年の期間が経過していることになるから、

この部分の請求は失当であり、

その余の部分に限って右の請求を認容すべきである。

 

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