労働基準法89条

(平成19年1月18日最高裁)

事件番号  平成16(受)380

 

この裁判は、

定年前に退職する従業員に対して定年退職の扱いとし

割増退職金を支給することなどを内容とする選択定年制に基づき

退職の申出をしたが承認のされなかった従業員について

上記選択定年制による退職の効果が生じないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

前記事実関係によれば,本件選択定年制による退職は,

従業員がする各個の申出に対し,

上告人がそれを承認することによって,

所定の日限りの雇用契約の終了や割増退職金債権の発生という

効果が生ずるものとされており,

上告人がその承認をするかどうかに関し,

上告人の就業規則及びこれを受けて定められた本件要項において

特段の制限は設けられていないことが明らかである。

 

もともと,本件選択定年制による退職に伴う割増退職金は,

従業員の申出と上告人の承認とを前提に,

早期の退職の代償として特別の利益を付与するものであるところ,

本件選択定年制による退職の申出に対し承認がされなかったとしても,

その申出をした従業員は,上記の

特別の利益を付与されることこそないものの,

本件選択定年制によらない退職を

申し出るなどすることは何ら妨げられていないのであり,

その退職の自由を制限されるものではない。

 

したがって,従業員がした

本件選択定年制による退職の申出に対して

上告人が承認をしなければ,

割増退職金債権の発生を伴う退職の効果が生ずる余地はない。

 

なお,前記事実関係によれば,上告人が,

本件選択定年制による退職の申出に対し,

被上告人らがしたものを含め,

すべて承認をしないこととしたのは,

経営悪化から事業譲渡及び解散が不可避となったとの判断の下に,

事業を譲渡する前に退職者の増加により

その継続が困難になる事態を防ぐためであったというのであるから,

その理由が不十分であるというべきものではない。

 

そうすると,本件選択定年制による退職の申出に対する

承認がされなかった被上告人らについて,

上記退職の効果が生ずるものではないこととなる。

 

以上と異なる原審の判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

 

論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。

そして,被上告人らの請求は理由がないから,

第1審判決を取り消してこれをいずれも棄却すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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