労働組合の組合員に対する雇入れの拒否

(平成15年12月22日最高裁)

事件番号  平成15(行ヒ)16

 

最高裁判所の見解

改革法23条は,承継法人の職員の採用手続において,

設立委員が,国鉄を通じ,労働条件及び採用の基準を提示して

職員の募集を行い(1項),これを受けて,国鉄が,

職員の意思を確認し,採用の基準に従い採用候補者の選定及び

採用候補者名簿の作成を行い(2項),設立委員が,

採用候補者名簿に記載された者の中から職員として

採用すべき者を決定し,採用する旨を通知する(3項)とし,

採用手続に段階を設け,各段階ごとに行う事務手続の内容,

主体及び権限を規定する。改革法は,前記のとおり,

承継法人を設立して国鉄の事業等を引き継がせ,

国鉄が承継法人に事業等を引き継いだときは,

国鉄を事業団に移行させて,承継法人に承継されない資産,債務等を

処理するための業務等を行わせるほか,

その職員の再就職の促進を図るための業務を行わせることとしたのであり,

これを受けて,国鉄の職員について,

承継法人の職員に採用されるべき者と国鉄の職員のまま残留させる者とに

振り分けることとし,国鉄にその振り分けを行わせることとしたのである。

 

そして,改革法は,23条において,上記のとおり,

承継法人設立時にその職員として採用する者を決定する

手続を特に定めたのであるから,国鉄の職員であっても,

同条所定の手続によらない限り,承継法人設立時に

その職員として採用される余地はなかったものというべきである。

 

国鉄によって承継法人の採用候補者に選定されず

採用候補者名簿に記載されなかった者は,

国鉄の職員の地位にとどまり,

国鉄が事業団に移行するのに伴ってその職員となり,

国鉄との従前の雇用契約関係が形を変えて

存続することとなったのであるから,

上記職員の雇用主は,国鉄,次いで

事業団であることが明らかである。

 

このように,改革法は,国鉄が上記振り分けに当たって

採用候補者として選定せず採用候補者名簿に

記載しなかったため承継法人の職員として

採用されなかった国鉄の職員については,

国鉄との間で雇用契約関係を存続させ,

国鉄が事業団に移行するのに伴い事業団の職員とし,

事業団との間に雇用契約関係を存続させることとしたが,

この措置は,事業団の職員となった者について

特措法により移行日から3年内に再就職を図るものとして

その間に再就職の準備をさせることとしたものであり,

雇用契約関係終了に向けての準備期間を

置くことを目的としたものである。

 

承継法人の職員に採用されず国鉄の職員から

事業団の職員の地位に移行した者は,

承継法人の職員に採用された者と比較して

不利益な立場に置かれることは明らかである。

 

そうすると,仮に国鉄が採用候補者の選定及び

採用候補者名簿の作成に当たり組合差別をした場合には,

国鉄は,その職員に対し,労働組合法7条1号が禁止する

労働組合の組合員であることのゆえをもって

不利益な取扱いをしたことになるというべきであり,

国鉄,次いで事業団は,その雇用主として

同条にいう「使用者」としての

責任を免れないものというべきである。

 

他方,改革法は,前記のとおり,所定の採用手続によらない限り

承継法人設立時にその職員として採用される余地はないこととし,

その採用手続の各段階における国鉄と設立委員の権限については,

これを明確に分離して規定しており,

このことに改革法及び関係法令の規定内容を併せて考えれば,

改革法は,設立委員自身が不当労働行為を行った場合は別として,

専ら国鉄が採用候補者の選定及び採用候補者名簿の作成に当たり

組合差別をしたという場合には,労働組合法7条の適用上,

専ら国鉄,次いで事業団にその責任を負わせることとしたものと解さざるを得ず,

このような改革法の規定する法律関係の下においては,

設立委員ひいては承継法人が同条にいう「使用者」として

不当労働行為の責任を負うものではないと解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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