北九州,大分の連続殺人事件

(平成22年11月8日最高裁)

事件番号  平成19(あ)337

 

最高裁判所の見解

本件は,(1) 被告人Aが,家屋の床下工事の施工等を

業とする会社の営業に従事していた際に,

女性の顧客から床下工事代金名下に,現金合計440万円を

だまし取った詐欺の事案,(2) 被告人Aが,

上記会社の営業活動により知り合った別の女性の顧客から,

訪問販売等による被害回復のための手続金等名下に,

現金合計約1054万円をだまし取った詐欺の事案,

(3) 被告人両名が,共謀の上,前記(1)の顧客と

一緒に住んでいた同人の義兄を殺害して,

同(1)の工事関係の書類を奪還するとともに金品を強取することを企て,

被告人Bにおいて,上記義兄方に侵入し,同人を殺害して

郵便貯金通帳等を強取し,さらに,

犯跡を隠ぺいするために同人方に放火し,

これを全焼させるとともに同人の死体を焼損して損壊した

住居侵入,強盗殺人,現住建造物等放火及び死体損壊の事案,

並びに(4) 被告人両名が,Cと共謀の上,被告人Bを

被保険者とする生命保険金を詐取する目的で,

同被告人が死亡したように見せかけるため,

その身代わりとして路上生活をしていた者を

殺害したという殺人の事案である。

 

量刑上重視すべき(3)の強盗殺人等及び

(4)の殺人の各事実の情状についてみると,

いずれも罪質は極めて悪く,利欲性が高く,

自己中心的かつ身勝手なもので,

動機及び経緯に酌量すべき点は認められない。

 

いずれの犯行も計画的なもので,

(3)の殺害方法は,虚言をもってあらかじめ同居の

義妹をおびき出して被害者1人にした上,

宅配便業者を装って侵入し,

頸部を絞め付け,所携の果物ナイフで頸部を突き刺すなどして

殺害したという,強固な殺意に基づく残虐なものである。

 

さらに,被害者の体等に灯油をまいて火をつけ,

家屋もろとも焼損させており,冷酷かつ非道である。

 

また,(4)の殺害方法も,路上生活をしていた被害者に対し,

仕事をしないかなどと誘って県外に連れ出し,

睡眠導入剤を服用させて眠らせ,車で川岸まで運んだ上,

両足首を持って宙づりにし身動きしなくなるまで水中に

上半身を沈めて溺死させたという,

これまた強固な殺意に基づく残虐かつ非情なものである。

 

被告人Aは,これらの犯行を立案し,

被告人Bほかを犯行に引き込んだ上,被告人Bに

犯行内容を細かく指示して実行させるなどしたものであって,

各犯行における首謀者である。被告人Bは,

被告人Aの指示に従い,

(3)の強盗殺人等では実行行為のすべてを1人で敢行し,

(4)の殺人でも実行行為のほぼすべてを自ら敢行した実行犯であり,

被告人Bがいなければこれらの犯行は

実現し得なかったものである。

 

犯行の結果,2名の尊い生命を奪った結果は誠に重大である。

被告人両名からは被害者らの遺族に対し慰謝の措置は講じられておらず,

遺族らの被害感情は厳しく,

本件が地域社会に与えた影響も軽視できない。

 

そうすると,被告人Aには前科がなく,

(3)のうち住居侵入と強盗,(4)の殺人,

(1)及び(2)の各詐欺の事実関係は認めていること,

被告人Bは,自分なりの思惑はあったものの,

被告人Aを恐れてその指示を受けこれに従ったという面もあり,

その意味においては従属的な側面があること,

事実関係を認め反省の態度を示していることなど,

被告人両名のために酌むべき事情を十分考慮しても,

それぞれの刑事責任は極めて重大であり,

被告人両名を死刑に処した第1審判決を維持した原判断は,

やむを得ないものとして当裁判所もこれを是認せざるを得ない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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