北海道平取町一家4人射殺事件

(平成5年12月10日最高裁)

事件番号  昭和62(あ)1062

 

最高裁判所の見解

記録を精査しても、刑訴法四一一条を

適用すべきものとは認められない

(本件は、北海道有珠郡a町ではく製加工販売、

きつね生皮仲買をしていた被告人が、

Aから買い入れたきつね生皮の残代金の支払に窮し、

昭和五四年七月一八日夜、沙流郡b町の同人方に

赴きその支払の猶予を請うたが、暴力団とも交際があると

聞いていた同人から右代金の支払の遅れを厳しく問責され、

「あんたの店の物を代金のかたに全部持ってくるぞ。」、

「お前の車を置いていけ。」などと被告人の商売を

危うくするようなことを言われた上、

同人に貸すため持参したライフル銃を

被告人の胸元近くで振り回されるなどしたため、

恐怖感にかられ、とっさに殺意を生じ、

同人からライフル銃を奪い取り、右ライフル銃で、

同人の妻及び次男(当時二歳)の目の前でAを撃ち、

犯行の発覚を恐れて右妻及び次男をも撃って、

いずれも銃弾を頭部に命中させ、さらに、

二階に上がり、逃げようとしたAの長女(当時二二歳)の頭部を撃ち、

倒れて動かなくなっていた右四名にとどめを刺そうと更に一ないし

二発の銃弾を頭部等に撃ち込み、右四名の被害者を

頭部射創による脳中枢の直接破壊により

即死させて殺害するなどした、という事案である。

 

被告人の右犯行は、Aの言動に触発されたとはいえ、

極めて短絡的、衝動的に妻子の目前で同人を殺害したばかりでなく、

犯行を隠ぺいするため何ら落ち度のない

二歳の幼児を含む妻子三名を殺害したものであって、

動機に酌量の余地はない。

 

犯行の手段方法は、ライフル銃で至近距離から

被害者らの頭部をねらい撃ち、とどめまで刺すという、

冷酷かつ凶悪なものである。

 

一家四人の生命を奪った結果が重大であることはいうまでもなく、

たまたま札幌にいて難を逃れたAの長男の被害感情は強烈であり、

社会に与えた影響も無視することができない。

 

以上のような本件犯行の罪質、動機、態様及び結果等にかんがみると、

ライフル銃を振り回すなど脅迫的言動に及んだという

被害者Aにも落ち度がなかったとはいえず、さらに、

衝動的犯行であって計画的犯行とはいえないこと、

本件に至るまで前科がないこと、反省悔悟していることなど

被告人のためにしんしゃくすべき事情を考慮しても、

その罪責は誠に重大であって、原判決が維持した

第一審判決の死刑の科刑は、

当裁判所もこれをやむを得ないものとして是認せざるを得ない。)。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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