医師の不作為と患者の死亡との間の因果関係の存否の判断と

患者が適切な診療行為を受けていたとした場合の生存可能期間の認定

(平成11年2月25日最高裁)

事件番号  平成8(オ)2043

 

最高裁判所の見解

1 訴訟上の因果関係の立証は、

一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、

経験則に照らして全証拠を総合検討し、

特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認し得る

高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、

通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の

確信を持ち得るものであることを必要とし、かつ、

それで足りるものである(最高裁昭和四八年(オ)第五一七号同五〇年一〇月二四日

第二小法廷判決・民集二九巻九号一四一七頁参照)。

 

右は、医師が注意義務に従って行うべき診療行為を行わなかった不作為と

患者の死亡との間の因果関係の存否の判断においても異なるところはなく、

経験則に照らして統計資料その他の医学的知見に関するものを含む

全証拠を総合的に検討し、医師の右不作為が

患者の当該時点における死亡を招来したこと、換言すると、

医師が注意義務を尽くして診療行為を行っていたならば

患者がその死亡の時点においてなお生存していたであろうことを

是認し得る高度の蓋然性が証明されれば、

医師の右不作為と患者の死亡との間の

因果関係は肯定されるものと解すべきである。

 

患者が右時点の後いかほどの期間生存し得たかは、

主に得べかりし利益その他の損害の

額の算定に当たって考慮されるべき由であり、

前記因果関係の存否に関する判断を直ちに左右するものではない。

 

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