卒業式の開式直前に大声で呼び掛けをした行為

(平成23年7月7日最高裁)

事件番号  平成20(あ)1132

 

この裁判は、

卒業式の開式直前に保護者らに対して大声で呼び掛けを行い,

これを制止した教頭らに対して怒号するなどし,

卒業式の円滑な遂行を妨げた行為をもって

刑法234条の罪に問うことが,

憲法21条1項に違反しないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

被告人がした行為の具体的態様は,上記のとおり,

卒業式の開式直前という時期に,式典会場である体育館において,

主催者に無断で,着席していた保護者らに対して大声で呼び掛けを行い,

これを制止した教頭に対して怒号し,被告人に退場を求めた

校長に対しても怒鳴り声を上げるなどし,

粗野な言動でその場を喧噪状態に陥れるなどしたというものである。

 

表現の自由は,民主主義社会において特に重要な権利として

尊重されなければならないが,憲法21条1項も,

表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく,

公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであって,

たとえ意見を外部に発表するための手段であっても,

その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されない

 

被告人の本件行為は,

その場の状況にそぐわない不相当な態様で行われ,

静穏な雰囲気の中で執り行われるべき

卒業式の円滑な遂行に看過し得ない支障を生じさせたものであって,

こうした行為が社会通念上許されず,

違法性を欠くものでないことは明らかである。

 

したがって,被告人の本件行為をもって

刑法234条の罪に問うことは,

憲法21条1項に違反するものではない。

 

このように解すべきことは,当裁判所の判例

(昭和23年(れ)第1308号同24年5月18日大法廷判決・

刑集3巻6号839頁,昭和24年(れ)第2591号

同25年9月27日大法廷判決・刑集4巻9号1799頁,

昭和42年(あ)第1626号同45年6月17日大法廷判決・

刑集24巻6号280頁)の趣旨に徴して明らかである

(最高裁昭和59年(あ)第206号同年12月18日

第三小法廷判決・刑集38巻12号3026頁参照)。

 

被告人の本件行為について同罪の成立を認めた原判断は

正当であり,所論は理由がない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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