危険物の製造業者及び販売業者が危険性の内容等を告知する義務

(平成5年3月25日最高裁)

事件番号  平成1(オ)649

 

最高裁判所の見解

1 海上物品運送業者は、危険物であることを知りながら、

これを運送する場合には、船舶及び積荷等の安全を確保するため、

当該危険物の危険性の内容、程度及び運搬、

保管方法等の取扱上の注意事項を調査し、

適切な積付け等を実施して、

事故の発生を未然に防止すべき注意義務を負っている。

 

したがって、右の場合において、海上物品運送業者が、

通常尽くすべき調査により、当該危険物の危険性の内容、

程度及び取扱上の注意事項を知り得るときは、

当該危険物の製造業者及び販売業者は、

海上物品運送業者に対し、

右の事項を告知する義務を負わないものというべきである。

 

2 これを本件についてみるに、

前記事実関係によれば、海上物品運送業者である被上告人は、

荷送人Fトレーディングから交付された連絡表等により、

本件運送品が高度さらし粉であって、

発火の危険性を有することを認識していた上、

危険物海上輸送に関し国際的に権威のあるイムココード等を

参照して調査することにより、

その危険性の内容、程度及び取扱上の

注意事項を容易に知り得たものというべきである。

 

したがって、上告人らは、危険物の製造業者及び販売業者として、

被上告人に対し、右の事項を告知する

義務を負っていたということはできない。

 

四 そうすると、右と異なる解釈の下に上告人らには

被上告人に対して本件高度さらし粉の危険性の内容、程度及び

取扱上の注意事項を周知させるべき注意義務を

怠った過失があるとした原審の判断には、

本件高度さらし粉の製造業者及び販売業者である

上告人らの注意義務に関する法令の解釈適用を誤った違法があり、

その違法が原判決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。

 

この趣旨をいう論旨は理由があり、

他の上告理由について判断するまでもなく、

原判決中上告人ら敗訴部分は破棄を免れない。

 

そして、前記説示に徴すれば、被上告人の上告人らに対する

本訴各請求はいずれも理由のないことが明らかであるから、

第一審判決中右部分を取り消した上、

右部分に関する被上告人の請求を棄却すべきである。

 

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