収賄の共同正犯者が共同して収受した賄賂についての追徴の方法

(平成16年11月8日最高裁)

事件番号  平成13(あ)25

 

最高裁判所の見解

刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの。)197条ノ5の規定による

没収・追徴は,必要的に行うべきものであるが,

本件のように収賄の共同正犯者が共同して収受した賄賂については,

これが現存する場合には,共犯者各自に対し

それぞれ全部の没収を言い渡すことができるから,

没収が不能な場合の追徴も,それが没収の換刑処分であることに徴すれば,

共犯者ら各自に対し,それぞれ収受した

賄賂の価額全部の追徴を命じることができると解するのが相当であり,

賄賂を共同収受した者の中に公務員の身分を有しない者が

含まれる場合であっても,異なる扱いをする理由はない。

 

もっとも,収受された賄賂を犯人等から必要的に没収,追徴する趣旨は,

収賄犯人等に不正な利益の保有を許さず,

これをはく奪して国庫に帰属させるという点にあると解される。

 

また,賄賂を収受した共犯者ら各自から

それぞれその価額の全部を追徴することができるとしても,

追徴が没収に代わる処分である以上,その全員に対し

重複してその全部につき執行することが許されるわけではなく,

共犯者中の1人又は数人について全部の執行が了すれば,

他の者に対しては執行し得ないものであることはもちろんである

(最高裁昭和29年(あ)第3683号同30年12月8日第一小法廷決定・

刑集9巻13号2608頁,最高裁昭和30年 (あ)

第3445号同33年4月15日第三小法廷決定・

刑集12巻5号916頁参照)。

 

これらの点に徴すると,収賄犯人等に不正な利益の保有を許さないという

要請が満たされる限りにおいては,必要的追徴であるからといって,

賄賂を共同収受した共犯者全員に対し,

それぞれその価額全部の追徴を常に命じなければならないものではない

ということができるのであり

(最高裁昭和26年 (あ)第3100号同33年3月5日

大法廷判決・刑集12巻3号384頁参照),裁判所は,

共犯者らに追徴を命じるに当たって,

賄賂による不正な利益の共犯者間における帰属,分配が

明らかである場合にその分配等の額に応じて各人に追徴を命じるなど,

相当と認められる場合には,裁量により,

各人にそれぞれ一部の額の追徴を命じ,

あるいは一部の者にのみ追徴を科することも許されるものと

解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク