名誉毀損の成否が問題となっている法的な見解の表明と意見ないし論評の表明

(平成16年7月15日最高裁)

事件番号  平成15(受)1793

 

最高裁判所の見解

 

事実を摘示しての名誉毀損にあっては,

その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,

その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,

摘示された事実がその重要な部分について

真実であることの証明があったときには,

上記行為には違法性がなく,仮に上記証明がないときにも,

行為者において上記事実の重要な部分を

真実と信ずるについて相当の理由があれば,

その故意又は過失は否定される

(最高裁昭和37年(オ)第815号同41年6月23日

第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁,

最高裁昭和56年(オ)第25号同58年10月20日第一小法廷判決・

裁判集民事140号177頁参照)。

 

一方,ある事実を基礎としての意見ないし

論評の表明による名誉毀損にあっては,

その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,

その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,

上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について

真実であることの証明があったときには,

人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り,

上記行為は違法性を欠くものというべきであり,

仮に上記証明がないときにも,行為者において

上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当な理由があれば,

その故意又は過失は否定される

(最高裁昭和60年(オ)第1274号平成元年12月21日

第一小法廷判決・民集43巻12号2252頁,

前掲最高裁平成9年9月9日第三小法廷判決参照)。

 

上記のとおり,問題とされている表現が,

事実を摘示するものであるか,意見ないし論評の表明であるかによって,

名誉毀損に係る不法行為責任の成否に関する要件が異なるため,

当該表現がいずれの範ちゅうに属するかを判別することが必要となるが,

当該表現が証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する

特定の事項を明示的又は黙示的に主張するものと理解されるときは,

当該表現は,上記特定の事項についての

事実を摘示するものと解するのが相当である

(前掲最高裁平成9年9月9日第三小法廷判決参照)。

 

そして,上記のような証拠等による証明になじまない

物事の価値,善悪,優劣についての批評や論議などは,

意見ないし論評の表明に属するというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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