商品先物取引委託契約上の説明義務及び通知義務

(平成21年7月16日最高裁)

事件番号  平成20(受)802

 

この裁判では、

特定の種類の商品先物取引について

差玉向かいを行っている商品取引員が,

専門的な知識を有しない委託者との間で締結した

商品先物取引委託契約上,委託者に対して負う

説明義務及び通知義務について裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

(1)ア 商品先物取引を受託する商品取引員は,商法上の問屋であり

(商法551条),委託者との間には,

委任に関する規定が準用されるから(同法552条2項),

商品取引員は,委託者に対し,委託の本旨に従い,

善良な管理者の注意をもって,誠実かつ公正に,

その業務を遂行する義務を負う(民法644条)。

 

イ 商品先物取引は,相場変動の大きい,リスクの高い取引であり,

専門的な知識を有しない委託者には的確な投資判断を行うことが

困難な取引であること,商品取引員が,上記委託者に対し,

投資判断の材料となる情報を提供し,上記委託者が,

上記情報を投資判断の材料として,商品取引員に対し,

取引を委託するものであるのが一般的であることは,

公知の事実であり,商品取引員と

上記委託者との間の商品先物取引委託契約は,

商品取引員から提供される情報に

相応の信用性があることを前提にしているというべきである。

 

そして,商品取引員が差玉向かいを

行っている場合に取引が決済されると,

委託者全体の総益金が総損金より多いときには商品取引員に損失が生じ,

委託者全体の総損金が総益金より多いときには

商品取引員に利益が生ずる関係となるのであるから,

商品取引員の行う差玉向かいには,

委託者全体の総損金が総益金より多くなるようにするために,

商品取引員において,故意に,委託者に対し,

投資判断を誤らせるような不適切な

情報を提供する危険が内在することが明らかである。

 

そうすると,商品取引員が差玉向かいを行っているということは,

商品取引員が提供する情報一般の信用性に対する

委託者の評価を低下させる可能性が高く,

委託者の投資判断に無視することのできない

影響を与えるものというべきである。

 

ウ したがって,少なくとも,

特定の種類の商品先物取引について差玉向かいを

行っている商品取引員が専門的な知識を有しない委託者との間で

商品先物取引委託契約を締結した場合には,

商品取引員は,上記委託契約上,商品取引員が差玉向かいを

行っている特定の種類の商品先物取引を受託する前に,

委託者に対し,その取引については差玉向かいを

行っていること及び差玉向かいは商品取引員と委託者との間に

利益相反関係が生ずる可能性の高いものであることを

十分に説明すべき義務を負い,委託者が上記の説明を受けた上で

上記取引を委託したときにも,委託者において,

どの程度の頻度で,自らの委託玉が商品取引員の自己玉と

対当する結果となっているのかを確認することができるように,

自己玉を建てる都度,その自己玉に対当する

委託玉を建てた委託者に対し,

その委託玉が商品取引員の自己玉と対当する結果となったことを

通知する義務を負うというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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