商工会議所に派遣された市職員に対する給与支出が違法であるとされた事例

(平成16年3月2日最高裁)

事件番号  平成11(行ヒ)114

 

最高裁判所の見解

(1) 本件免除条例2条3号及び本件給与条例11条前段は,

職務専念義務の免除や勤務しないことについての承認について

明示の要件を定めていないが,処分権者が

これを全く自由に行うことができるというものではなく,

職務専念義務の免除が服務の根本基準を定める

地方公務員法30条や職務に専念すべき義務を定める

同法35条の趣旨に違反したり,勤務しないことについての承認が

給与の根本基準を定める同法24条1項の趣旨に違反する場合には,

これらは違法となると解すべきである(前掲第二小法廷判決)。

 

上記事実関係等によれば,市とD商工会議所との間で,

本件派遣職員の職務内容について具体的な取決めがされた形跡はなく,

本件派遣職員は,市の企画する商工業振興策と

直接的な関連性が認められる諸事業には

具体的に関与しておらず,商業近代化地域計画の実施についての関与も

間接的なものにとどまっており,

実際の職務の中心はD商工会議所の内部的事務であったというのである。

 

そうすると,本件派遣当時,市は,低迷する市内の商工業の活性化等を

図るための施策の一つとして商工会議所の指導及び

相談体制の充実を掲げており,上記諸事業の推進等のために

D商工会議所との連携を強める必要があったことのほか,

本件派遣の期間は約7か月にとどまり,

派遣人数も1人であったこと等を考慮しても,

本件職務専念義務の免除は地方公務員法30条,35条の趣旨に反し,

本件承認は同法24条1項の趣旨に反するというべきである。

 

したがって,本件承認を是正することなく,

これを前提にして行われた

本件派遣職員に対する給与支出のうち欠勤者にも

支給される期末手当全額及び勤勉手当の

7割相当額を控除した残額の支出は違法というべきである。

 

これと同旨の原審の判断は是認することができる。

この点に関する論旨は採用することができない。

 

(2) ある事項に関する法律解釈につき異なる見解が対立し,

実務上の取扱いも分かれていて,

そのいずれについても相当の根拠が認められる場合に,

公務員がその一方の見解を正当と解しこれに立脚して

公務を執行したときは,後にその執行が違法と判断されたからといって,

直ちに上記公務員に過失があったものとすることは相当ではない

(最高裁昭和42年(オ)第692号同46年6月24日

第一小法廷判決・民集25巻4号574頁等参照)。

 

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