商標法4条1項15号に規定する商標

(平成13年7月6日最高裁)

事件番号  平成12(行ヒ)172

 

この裁判では、

洋服等を指定商品とする「PALM SPRINGS POLO CLUB」等の文字から成る商標が

商標法4条1項15号に規定する商標に当たるかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

ア 本願商標は,その外観上,4個の英単語及び

これに対応する片仮名文字から成るものであって,

引用商標と同一の「POLO」,「ポロ」の語と,

「PALM」,「パーム」,「SPRINGS」,

「スプリングス」及び「CLUB」,「クラブ」の語とを組み合わせた結合商標である。

 

また,本願商標は,全体として一個不可分の既成の概念を

示すものとは認められないし,欧文字で19字,片仮名文字で14字から成る

外観及び称呼が比較的長い商標であるから,

簡易迅速性を重んずる取引の実際においては,

その一部分だけによって簡略に表記ないし

称呼され得るものであるということができる。

 

イ 引用商標は,ラルフ・ローレンのデザインに係る

被服等の商品を示すものとして,我が国における取引者及び

需要者の間に広く認識されているものであって,

周知著名性の程度が高い表示である。

 

もっとも,「POLO」,「ポロ」の語は,

元来は乗馬した競技者により行われるスポーツ競技の名称であって,

しかも,「ポロシャツ」の語は被服の種類を表す普通名詞であるから,

引用商標の独創性の程度は,造語による商標に比して,

低いといわざるを得ない。

 

しかし,本願商標の指定商品は洋服等であって,

引用商標が現に使用されている商品と同一であるか又は

これとの関連性の程度が極めて強いものである。

 

また,このことから,両者の商品の取引者及び需要者が

共通することも明らかである。

 

しかも,本願商標の指定商品が日常的に消費される性質の商品であることや,

その需要者が特別な専門的知識経験を有しない

一般大衆であることからすると,

これを購入するに際して払われる注意力は

さほど高いものでないと見なければならない。

 

そうすると,本願商標の本号該当性の判断をする上で,

引用商標の独創性の程度が低いことを重視するのは相当でないというべきである。

 

ウ 本願商標を構成する「POLO」,「ポロ」の語以外の語句のうち,

「PALMSPRINGS」,「パームスプリングス」が

アメリカ合衆国にある保養地の名称として知られていること,

「CLUB」,「クラブ」が同好の者が集った団体を意味する

日常用語であることからすれば,本願商標から

「パームスプリングスにあるポロ競技のクラブ」

という観念が生じ得ることは,原判決の判示するとおりである。

 

しかし,1個の商標から複数の観念が生ずることはしばしばあり得るところ,

引用商標の周知著名性の程度の高さや,

本願商標と引用商標とにおける商品の

同一性並びに取引者及び需要者の共通性に照らすと,

本願商標がその指定商品に使用されたときは,

その構成中の「POLO」,「ポロ」の部分が

これに接する取引者及び需要者の注意を

特に強く引くであろうことは容易に予想できるのであって,

本願商標からは,上記の観念とともに,

ラルフ・ローレン若しくはその経営する会社又は

これらと緊密な関係にある営業主の業務に係る商品であるとの

観念も生ずるということができる。

 

(3) 以上のとおり,本願商標は引用商標と同一の部分を

その構成の一部に含む結合商標であって,その外観,

称呼及び観念上,この同一の部分がその余の部分から

分離して認識され得るものであることに加え,

引用商標の周知著名性の程度が高く,しかも,

本願商標の指定商品と引用商標の使用されている商品とが重複し,

両者の取引者及び需要者も共通している。

 

これらの事情を総合的に判断すれば,本願商標は,

これに接した取引者及び需要者に対し引用商標を連想させて

商品の出所につき誤認を生じさせるものであり,

その商標登録を認めた場合には,引用商標の持つ

顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)や

その希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという

結果を生じ兼ねないと考えられる。

 

そうすると,本願商標は,本号にいう

「混同を生ずるおそれがある商標」に当たると判断するのが相当であって,

引用商標の独創性の程度が造語による商標に比して低いことは,

この判断を左右するものでないというべきである。

 

4 以上によれば,原審の判断には判決に影響を及ぼすことが

明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,

原判決は破棄を免れない。

 

そして,前記説示によれば,

本願商標が本号に該当するとした本件審決に違法はなく,

その取消しを求める被上告人の本訴請求は

理由がないのでこれを棄却すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク