商法676条2項にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」の意義

(平成5年9月7日最高裁)

事件番号  平成2(オ)1100

 

最高裁判所の見解

一 商法六七六条二項にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」とは、

保険契約者によって保険金受取人として

指定された者(以下「指定受取人」という。)の法定相続人又は

その順次の法定相続人であって被保険者の死亡時に

現に生存する者をいうと解すべきである

(大審院大正一〇年(オ)第八九八号同一一年二月七日判決・

民集一巻一号一九頁)。

 

けだし、商法六七六条二項の規定は、保険金受取人が

不存在となる事態をできる限り避けるため、

保険金受取人についての指定を補充するものであり、

指定受取人が死亡した場合において、

その後保険契約者が死亡して

同条一項の規定による保険金受取人についての

再指定をする余地がなくなったときは、

指定受取人の法定相続人又はその順次の法定相続人であって

被保険者の死亡時に現に生存する者が保険金受取人として

確定する趣旨のものと解すべきであるからである。

 

この理は、指定受取人の法定相続人が複数存在し、

保険契約者兼被保険者が右法定相続人の一人である

場合においても同様である。

 

二 そして、商法六七六条二項の規定の適用の結果、

指定受取人の法定相続人とその順次の法定相続人とが

保険金受取人として確定した場合には、

各保険金受取人の権利の割合は、

民法四二七条の規定の適用により、

平等の割合になるものと解すべきである。

 

けだし、商法六七六条二項の規定は、

指定受取人の地位の相続による承継を定めるものでも、また、

複数の保険金受取人がある場合に各人の取得する

保険金請求権の割合を定めるものでもなく、

指定受取人の法定相続人という地位に着目して

保険金受取人となるべき者を定めるものであって、

保険金支払理由の発生により

原始的に保険金請求権を取得する

複数の保険金受取人の間の権利の割合を決定するのは、

民法四二七条の規定であるからである。

 

三 そうすると、Dが被上告人との間で、

昭和六一年五月一日、被保険者をD、保険金受取

人をDの母であるE、死亡保険金額を二〇〇〇万円とする

生命保険契約を締結したが、Eが同六二年五月九日に死亡し、

次いでDが同六三年一一月一三日に保険金受取人の再指定をすることなく死亡し、

Eの法定相続人としてD及び上告人らの四名がおり、

Dの法定相続人として上告人ら以外に一一名の

異母兄姉等がいるとの原審が適法に確定した事実関係の下においては、

上告人ら及びDの一一名の異母兄姉等の合計一四名が

保険金受取人となったものというべきであるから、

右死亡保険金額の各一四分の一について

上告人らの請求を認容し、その余を棄却すべきものとした

原審の判断は正当として是認することができる。

 

前記大審院判例は、所論の趣旨を判示したものとはいえない。

論旨は、採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク