商法704条2項にいう先取特権と民法上の先取特権

(平成14年2月5日最高裁)

事件番号  平成13(許)10

 

最高裁判所の見解

商法704条2項本文は,

船舶の賃借人が商行為をする目的をもって

船舶を航海の用に供したときは,船舶の利用につき生じた

先取特権が船舶の所有者に対しても効力を生じる旨を規定しているところ,

この先取特権には,民法上の先取特権も含まれると解するのが相当である。

 

けだし,同項本文は,同条1項の賃借人による船舶の利用に関する事項により

生じた債務を担保する先取特権については,

当該賃借人が当該船舶を所有している場合と

同様の効力を認めることによって債権者を保護しようとするものであり,

その適用を商法842条に定める

先取特権等に限定する必要はないからである。

 

前記事実関係によれば,相手方事業団の有する

本件船舶の共有持分は相手方B海運に賃貸され,

相手方B海運は本件船舶を自己の営む

海上貨物運送事業の用に供しているというのであり,

本件各修繕費請求権を被担保債権とする動産保存の先取特権は,

相手方B海運による本件船舶の利用につき

生じたものというべきであるから,

この先取特権は,商法704条2項本文により,

相手方事業団に対してもその効力を生じるものというべきである。

 

そうすると,上記先取特権の効力が

相手方事業団の共有持分に及ばないとした原審の判断には,

裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,

原決定中相手方事業団に対する申立てに

関する部分は破棄を免れない。

 

そして,上記説示したところによれば,

相手方事業団の共有持分に対する競売の申立てを却下した

原々決定は不当であるから,同部分について

原々決定を取り消した上,

本件を神戸地方裁判所に差し戻すこととする。

 

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