固定資産課税審査却下決定取消請求事件

(平成15年6月26日最高裁)

事件番号  平成10(行ヒ)41

 

最高裁判所の見解

法410条は,市町村長(法734条1項により特別区にあっては

東京都知事。以下同じ )が,固定資産の価格等を毎年2月末日までに

決定しなければならないと規定するところ,

大量に存する固定資産の評価事務に要する期間を考慮して

賦課期日からさかのぼった時点を価格調査基準日とし,

同日の標準宅地の価格を賦課期日における

価格の算定資料とすること自体は,

法の禁止するところということはできない。

 

しかし,法349条1項の文言からすれば,同項所定の固定資産税の

課税標準である固定資産の価格である適正な時価が,

基準年度に係る賦課期日におけるものを意味することは明らかであり,

他の時点の価格をもって土地課税台帳等に

登録すべきものと解する根拠はない。

 

そして,土地に対する固定資産税は,土地の資産価値に着目し,

その所有という事実に担税力を認めて課する一種の財産税であって,

個々の土地の収益性の有無にかかわらず,

その所有者に対して課するものであるから,上記の適正な時価とは,

正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,

客観的な交換価値をいうと解される。

 

したがって土地 ,課税台帳等に登録された価格が賦課期日における

当該土地の客観的な交換価値を上回れば,当該価格の決定は違法となる。

 

他方,法は,固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び

手続を自治大臣の告示である評価基準にゆだね

(法388条1項 ),市町村長は,評価基準によって,

固定資産の価格を決定しなければならないと定めている(法403条1項 。)

これは,全国一律の統一的な評価基準による評価によって,

各市町村全体の評価の均衡を図り,評価に関与する者の個人差に基づく

評価の不均衡を解消するために,固定資産の価格は評価基準によって

決定されることを要するものとする趣旨であるが,

適正な時価の意義については上記のとおり解すべきであり,

法もこれを算定するための技術的かつ細目的な基準の定めを

自治大臣の告示に委任したものであって,

賦課期日における客観的な交換価値を上回る価格を

算定することまでもゆだねたものではない。

 

そして,評価基準に定める市街地宅地評価法は,

標準宅地の適正な時価に基づいて所定の方式に従って

各筆の宅地の評価をすべき旨を規定するところ,

これにのっとって算定される当該宅地の価格が,

賦課期日における客観的な交換価値を超えるものではないと

推認することができるためには,

標準宅地の適正な時価として評定された価格が,

標準宅地の賦課期日における客観的な

交換価値を上回っていないことが必要である。

 

前記事実関係によれば,本件決定において

7割評価通達及び時点修正通知を適用して

評定された標準宅地甲及び標準宅地乙の価格は,

各標準宅地の平成6年1月1日における客観的な交換価値を上回るところ,

同日における各標準宅地の客観的な

交換価値と認められる前記の価格に基づき,

評価基準にのっとって,本件各土地の価格を算定すると,

前記の各価格となるというのである。

 

そうすると,本件決定のうち前記各価格を上回る部分には,

賦課期日における適正な時価を超える違法があり,

同部分を取り消すべきものであるとした原審の判断は,

正当として是認することができ,原判決に所論の違法はない。

論旨は採用することができない。

 

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