固有必要的共同訴訟における共同被告の一部に対する訴えの取下げの効力

(平成6年1月25日最高裁)

事件番号  平成5(オ)641

 

最高裁判所の見解

共同相続人間における遺産確認の訴えは、

共同相続人全員が当事者として関与し、

その間で合一にのみ確定することを要する

いわゆる固有必要的共同訴訟と解すべきところ

(最高裁昭和六〇年(オ)第七二七号平成元年三月二八日第三小法廷判決・

民集四三巻三号一六七頁参照)、記録によれば、

亡Hは昭和五〇年三月二六日に死亡し、

その遺産を妻である被上告人B1、

兄であるI及び妹である被上告人B2が

共同相続し、その後、Iが昭和五六年八月三日に死亡し、

その遺産を妻である選定者D、長男であるE、

長女であるG、次男である上告人及び三男である

Fが共同相続したことが認められる。

 

そして、上告人の主張によれば、亡Hの遺産について遺産分割が

未了であり、上告人、選定者D、

被上告人両名及びEら三名の合計七名が

その共同相続人(共同相続人の相続人を含む。以下同じ。)で

あるというのであるから、上告人の本件訴えは、

共同相続人全員を当事者として適法に提起され、

第一審裁判所に係属したものというべきである。

 

ところが、上告人は、本件訴えが右のとおり

適法に係属した後に、Eら三名に対する

訴えの取下げをしたものであるが、

このような固有必要的共同訴訟の係属中にした共同被告の

一部に対する訴えの取下げは、

効力を生じないものというべきである。

 

けだし、いわゆる固有必要的共同訴訟においては、

共同訴訟人全員について判決による紛争の解決が

矛盾なくされることが要請されるが故に、

共同訴訟人全員が当事者として関与することが

必要とされるのであって、このような訴訟の係属中に

一部の者に対してする訴えの取下げの効力を認めることは、

右訴訟の本質と相いれないからである

(最高裁昭和四二年(オ)第五三五号同四六年一〇月七日第一小法廷判決・

民集二五巻七号八八五頁参照)。

 

三 したがって、上告人のEら三名に対する訴えの取下げを

有効と判断した原判決及び第一審判決には、

法令の解釈適用を誤った違法があり、

右違法は判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

これと同旨をいう論旨は理由があり、

その余の上告理由について判断するまでもなく、

原判決は破棄を免れず、第一審判決も

取り消されるべきであるから、

本件を京都地方裁判所に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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