国の補助事業における入札談合によって普通地方公共団体の被った損害の賠償

(平成23年9月8日最高裁)

事件番号  平成21(受)1408

 

この裁判では、

国の補助事業における入札談合によって普通地方公共団体の被った

損害の賠償を求める地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)

242条の2第1項4号の規定による住民訴訟において

住民が勝訴した場合の同条7項にいう「相当と認められる額」の認定に当たり,

当該普通地方公共団体が回収した額を考慮する際に

その回収に伴い国に返還されることとなる

国庫補助金相当額を控除することの可否について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

法242条の2第7項にいう「相当と認められる額」とは,

同条1項4号の規定による住民訴訟(以下「旧4号住民訴訟」という。)において

住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った

活動の対価として必要かつ十分な程度として

社会通念上適正妥当と認められる額をいい,

その具体的な額は,当該訴訟における事案の難易,

弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,

判決の結果普通地方公共団体が回収した額,

住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して

定められるべきものである(最高裁平成19年(受)

第2069号同21年4月23日第一小法廷判決・

民集63巻4号703頁参照)。

 

同条7項において,旧4号住民訴訟を提起した住民が

勝訴した場合に上記「相当と認められる額」の支払を

普通地方公共団体に請求することができるとされているのは,

当該勝訴判決により当該普通地方公共団体が

現に経済的利益を確保することになるという事情が

考慮されたことによるものと解される。

 

そして,当該普通地方公共団体は,当該勝訴判決で認められた

損害賠償等の請求権を行使することにより

本来その認容額の全額を回収し得る地位に立つのであり,

他方,本件のような国庫補助金相当額の返還は

上記請求権の行使とは別の財務会計行為によるものであるから,

その返還に係る国庫補助金相当額が最終的には

当該普通地方公共団体の利得とならないとしても,

当該勝訴判決の結果現に回収された金員が,

当該弁護士の訴訟活動によって当該普通地方公共団体が確保した

経済的利益に当たるものというべきである。

 

そうすると,国の補助事業における入札談合によって

普通地方公共団体の被った損害の賠償を求める

旧4号住民訴訟において住民が勝訴した場合の上記

「相当と認められる額」の認定に当たり,

勝訴により確保された経済的利益の額として

判決の結果当該普通地方公共団体が回収した額を考慮する際には,

その額は,現に回収された額とすべきであり,

現に回収された額からその回収に伴い国に返還されることとなる

国庫補助金相当額を控除した額とすべきものではないと

解するのが相当である。

 

したがって,原判決中,別件訴訟に関する上記

「相当と認められる額」の認定に当たって,

本件回収額から本件国庫補助金返還額を控除した額を

別件訴訟の一部勝訴により確保された経済的利益の額とした部分は,

相当ではないものといわざるを得ない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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