国税徴収法24条,民法91条

(平成15年12月19日最高裁)

事件番号  平成10(行ツ)149

 

最高裁判所の見解

本件は,上告人が,被上告人に対し,

本件告知(ただし,同年6月1日に被上告人によって

一部取り消された後のもの。)の取消しを請求する事案である。

 

法24条1項は,納税者が国税を滞納した場合において,

その者が譲渡した財産でその譲渡により

担保の目的となっているものがあるときは,

その者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき

国税に不足すると認められるときに限り,

上記譲渡担保財産から納税者の国税を

徴収することができることとしている。

 

他方,同条2項は,税務署長が同条1項により徴収しようとするときは,

譲渡担保権者に対し,徴収しようとする金額等を記載した書面により

告知しなければならないこととしており,同条3項は,

告知書を発した日から10日を経過した日までに

その徴収しようとする金額が完納されていないときに,

徴収職員は,譲渡担保権者を第二次納税義務者とみなして,

その譲渡担保財産につき滞納処分を

執行することができることとしている。

 

このように同条2項による告知がされると,

譲渡担保権者が譲渡担保権を実行して譲渡担保財産に対する

滞納処分を回避しようとする事態が生じ得るため,

同条5項は,「第2項の規定による告知(中略)をした後」に

納税者の財産の譲渡により担保される債権が債務不履行

その他弁済以外の理由により消滅した場合においても,

なお譲渡担保財産として存続するものとみなして,

同条3項を適用すると規定している。

 

上記各規定にかんがみれば,同条2項による告知は,

譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができる場合に,

譲渡担保権者にとって不意打ちとならないようにするため,

あらかじめ同項所定の事項を通知しようとするものである。

 

そして,同条5項にいう「第2項の規定による告知(中略)をした後」とは,

同条2項の告知書が譲渡担保権者に到達した時点以後を意味するが,

同条2項の告知の発出と到達との間の時間的間隔をとらえ,

告知書の発出の時点で譲渡担保権者が

譲渡担保権を実行することを納税者とあらかじめ合意することは,

同条2項の手続が執られたことを契機に譲渡担保権が実行されたという

関係があるときにはその財産がなお譲渡担保財産として

存続するものとみなすこととする同条5項の適用を

回避しようとするものであるから,

この合意の効力を認めることはできない。

 

これを本件についてみると,本件合意は,

上告人に担保のために譲渡された売掛金債権について,

同条に基づく告知が発せられたときは,

これを担保とした上告人の当座貸越債権は何らの手続を要せず

弁済期が到来するものとし,同時に担保のため譲渡した

売掛金債権は当座貸越債権の代物弁済に充てることなどを

内容とするものであるから,その効力を認めることはできない。

したがって,本件告知が違法であるとはいえない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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