土地境界確定請求事件

(平成11年11月9日最高裁)

事件番号  平成9(オ)873

 

最高裁判所の見解

境界の確定を求める訴えは、隣接する土地の一方又は

双方が数名の共有に属する場合には、

共有者全員が共同してのみ訴え、又は訴えられることを要する

固有必要的共同訴訟と解される

(最高裁昭和四四年(オ)第二七九号同四六年一二月九日第一小法廷判決・

民集二五巻九号一四五七頁参照)。

 

したがって、共有者が右の訴えを提起するには、

本来、その全員が原告となって訴えを

提起すべきものであるということができる。

 

しかし、共有者のうちに右の訴えを提起することに

同調しない者がいるときには、その余の共有者は、

隣接する土地の所有者と共に右の訴えを提起することに

同調しない者を被告にして訴えを提起することが

できるものと解するのが相当である。

 

けだし、境界確定の訴えは、所有権の目的となるべき

公簿上特定の地番により表示される相隣接する土地の境界に争いがある場合に、

裁判によってその境界を定めることを求める訴えであって、

所有権の目的となる土地の範囲を確定するものとして

共有地については共有者全員につき判決の効力を及ぼすべきものであるから、

右共有者は、共通の利益を有する者として共同して訴え、

又は訴えられることが必要となる。

 

しかし、共有者のうちに右の訴えを提起することに

同調しない者がいる場合であっても、

隣接する土地との境界に争いがあるときには

これを確定する必要があることを否定することはできないところ、

右の訴えにおいては、裁判所は、当事者の主張に拘束されないで、

自らその正当と認めるところに従って境界を定めるべきであって、

当事者の主張しない境界線を確定しても民訴法二四六条の規定に

違反するものではないのである

(最高裁昭和三七年(オ)第九三八号同三八年一〇月一五日

第三小法廷判決・民集一七巻九号一二二〇頁参照)。

 

このような右の訴えの特質に照らせば、

共有者全員が必ず共同歩調をとることを要するとまで解する必要はなく、

共有者の全員が原告又は被告いずれかの立場で

当事者として訴訟に関与していれば足りると解すべきであり、

このように解しても訴訟手続に支障を来すこともないからである。

 

そして、共有者が原告と被告とに分かれることになった場合には、

この共有者間には公簿上特定の地番により表示されている

共有地の範囲に関する対立があるというべきであるとともに、

隣地の所有者は、相隣接する土地の境界をめぐって、

右共有者全員と対立関係にあるから、

隣地の所有者が共有者のうちの原告となっている者のみを

相手方として上訴した場合には、民訴法四七条四項を類推して、

同法四〇条二項の準用により、この上訴の提起は、

共有者のうちの被告となっている者に対しても効力を生じ、

右の者は、被上訴人としての地位に立つものと解するのが相当である。

 

右に説示したところによれば、本件訴えを適法なものであるとし、

被上告人B1も被控訴人の地位に立つとした原審の判断は、

正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。

 

所論引用の各判例のうち、最高裁昭和三九年(オ)第七九七号

同四二年九月二七日大法廷判決・民集二一巻七号一九二五頁は、

本件と事案を異にし適切でなく、その余の各判例は、

所論の趣旨を判示したものとはいえない。

 

論旨は、右と異なる見解に立って原判決を非難するものであって、

採用することができない。なお、原審は、

主文三項の1において被上告人B2らと上告人との間で、

同項の2において被上告人B2らと同B1との間で、

それぞれ本件土地と上告人所有地との

境界を前記のとおり確定すると表示したが、

共有者が原告と被告とに分かれることになった場合においても、

境界は、右の訴えに関与した当事者全員の間で

合一に確定されるものであるから、本件においては、

本件土地と上告人所有地との境界を確定する旨を

一つの主文で表示すれば足りるものであったというべきである。

 

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