被相続人の占有により取得時効が完成した場合に共同相続人の1人が取得時効を援用することができる限度

(平成13年7月10日最高裁)

事件番号  平成11(受)223

 

最高裁判所の見解

時効の完成により利益を受ける者は

自己が直接に受けるべき利益の存する限度で

時効を援用することができるものと解すべきであって,

被相続人の占有により取得時効が完成した場合において,

その共同相続人の一人は,自己の相続分の限度においてのみ

取得時効を援用することができるにすぎないと解するのが相当である。

 

これを本件についてみると,Dの法定相続人の間で

本件不動産の全部を被上告人が取得する旨の

遺産分割協議が成立したなどの事情があれば格別,

そのような事情がない限り,被上告人は,

Dの占有によって完成した取得時効の援用によって,

本件不動産の全部の所有権を取得することは

できないものというべきである。

 

そうすると,これと異なり,本件不動産の全部について,

被上告人の所有権移転登記手続請求を認容した原審の判断には,

民法145条の解釈適用の誤りがあるといわざるを得ず,

この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

論旨はこれと同趣旨をいうものとして理由があり,

原判決は破棄を免れない。

 

そして,本件については,遺産分割協議の成否等Dの

相続人間における本件不動産の帰属について

更に審理を尽くさせる必要があるから,

本件を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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