土地所有権移転登記抹消登記手続請求事件

(平成17年12月15日最高裁)

事件番号  平成16(オ)402

 

この裁判では、

甲名義の不動産につき乙,Yが順次相続したことを原因として

直接Yに対して所有権移転登記がされている場合において

甲の共同相続人であるXが上記登記の全部抹消を求めることの可否について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

更正登記は,錯誤又は遺漏のため登記と実体関係の間に

原始的な不一致がある場合に,その不一致を解消させるべく

既存登記の内容の一部を訂正補充する目的をもってされる登記であり,

更正の前後を通じて登記としての

同一性がある場合に限り認められるものである

(最高裁平成11年(オ)第773号

同12年1月27日第一小法廷判決・

裁判集民事196号239頁参照)。

 

前記事実関係によれば,原判決が判示する更正登記手続は,

登記名義人を被上告人とする本件登記を,

①登記名義人を被上告人が含まれないDの相続人とする登記と,

②登記名義人をFの相続人とする登記に更正するというものである。

しかし,この方法によると,上記①の登記は

本件登記と登記名義人が異なることになるし,

更正によって登記の個数が増えることにもなるから,

本件登記と更正後の登記とは同一性を欠くものといわざるを得ない。

 

したがって,上記更正登記手続を

することはできないというべきである。

 

そして,被上告人の主張する遺産分割協議の成立が認められない限り,

本件登記は実体関係と異なる登記であり,

これを是正する方法として更正登記手続によることができないのであるから,

上告人は,被上告人に対し,本件各土地の共有持分権に基づき

本件登記の抹消登記手続をすることを求めることができるというべきであり,

被上告人が本件各土地に共有持分権を有するということは,

上記請求を妨げる事由にはならない。

 

原審の引用する前記昭和38年2月22日第二小法廷判決は,

共有不動産について,共有者の1人のため実体関係と異なる

単独所有権取得の登記がされている場合に,

他の共有者は,更正登記手続をすることができるから,

全部抹消を求めることができない旨判示したものであり,

更正の前後を通じて登記としての同一性がある事案についての

判決であって,本件とは事案を異にする。

 

以上によれば,原審の前記判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,

原判決は破棄を免れない。

 

そして,被上告人の抗弁(遺産分割協議の成立)が

認められるのであれば,

上告人の本訴請求は理由がないことになるから,

本件においては,まず上記抗弁について判断すべきであるところ,

原判決は,前記のとおり,前記遺産分割協議の成否を確定していないので,

これについて更に審理を尽くさせるため,

本件を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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