極度額を超える金額の被担保債権を請求債権とする根抵当権の実行がされた場合に被担保債権について消滅時効中断の効力が生じる範囲

(平成11年9月9日最高裁)

事件番号  平成8(オ)2422

 

最高裁判所の見解

債権者から物上保証人に対する根抵当権の実行としての競売の申立てがされ、

執行裁判所が、競売開始決定をした上、

同決定正本を債務者に送達した場合には、

時効の利益を受けるべき債務者に差押えの通知がされたものとして、

民法一五五条により、債務者に対して当該根抵当権の

実行に係る被担保債権について消滅時効の中断の効力を生ずる

(最高裁昭和四七年(オ)第七二三号同五〇年一一月二一日第二小法廷判決・

民集二九巻一〇号一五三七頁参照)。

 

しかし、債権者が根抵当権の実行としての競売を申し立て、

競売開始決定正本が債務者に送達されても、

根抵当権の被担保債権について催告(同法一五三条)としての

効力が生ずるものではないと解すべきである

(最高裁平成七年(オ)第一九一四号同八年九月二七日第二小法廷判決・

民集五〇巻八号二三九五頁参照)。

 

そして、物上保証人に対する不動産競売において、

債務者に対する同法一五五条による被担保債権の

消滅時効中断の効力が生じた後、

債権者が不動産競売の申立てを取り下げたときは、

右時効中断の効力は、差押えが権利者の請求によって

取り消されたとき(同法一五四条)に準じ、

初めから生じなかったことになると解するのが相当である。

 

2 これを本件についてみると、前記事実関係によれば、

Dは、平成七年一月二七日、被上告人に対して

本件根抵当権の極度額に相当する一五〇〇万円を支払い、

被上告人は、同日、本件根抵当権の実行としての

不動産競売の申立てを取り下げたというのであるから、

本件根抵当権の実行に係る被担保債権である本件貸金債権に

ついての民法一五五条による消滅時効中断の効力は

初めから生じなかったことになる。

 

そして、被上告人がした本件根抵当権の実行としての

不動産競売の申立て及びその競売開始決定正本の

債務者への送達が同法一五三条の催告としての効力を有すると

解することはできず、被上告人の主張する

他の消滅時効の中断事由を認めることもできないから、

本件貸金債権は、Dの消滅時効の援用により

消滅したものというべきである。

 

四 右と異なる原審の判断は、法令の解釈適用を誤った違法があり、

右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、

論旨は理由があり、原判決中、保証債務不存在確認請求に関する部分は、

その余の点について判断するまでもなく、破棄を免れない。

 

そして、以上判示したところによれば、

本件連帯保証債務の主債務である本件貸金債務が時効により

消滅したことに伴い、本件連帯保証債務も消滅したというべきであるから、

第一審判決中、保証債務不存在確認請求に関する部分を取り消して、

右請求を認容すべきである。

 

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