在留期間更新不許可処分取消

(平成8年7月2日最高裁)

事件番号  平成6(行ツ)183

 

最高裁判所の見解

「短期滞在」の在留資格で本邦に在留する外国人から

在留期間の更新申請がされた場合において、

上告人は、通常であれば、当該外国人につき、

「短期滞在」の在留資格に対応する出入国管理及び

難民認定法別表第一の三下欄の活動を引き続き行わせることを

適当と認めるに足りる相当の理由があるかどうかを

判断すれば足り、他の在留資格に対応する活動を

行わせることを適当と認めるに足りる

相当の理由があるかどうかについて考慮する必要のないことは、

一応所論のとおりである。

 

しかし、本件については、

直ちに所論のように解することはできない。

 

前記事実関係及び原判決の事実摘示に表われた

当事者の主張その他記録上明らかな在留資格の

変更許可に係る審理上の諸経過によれば、被上告人は、

「日本人の配偶者又は子」の在留資格

(ただし、前記改正に伴い、平成二年六月一日以降は、

右改正後の出入国管理及び難民認定法別表第二所定の

「日本人の配偶者等」の在留資格によって

本邦に在留するものとみなされた)をもって

本邦における在留を継続してきていたが、

上告人は、同年七月三〇日、被上告人とDとが

長期間にわたり別居していたことなどから、

被上告人の本邦における活動は、

もはや日本人の配偶者の身分を有する者としての

活動に該当しないとの判断の下に、被上告人の意に反して、

その在留資格を同法別表第一の三所定の「短期滞在」に

変更する旨の申請ありとして取り扱い、

これを許可する旨の処分をし、これにより、

被上告人が「日本人の配偶者等」の在留資格による

在留期間の更新を申請する機会を失わせたものと判断されるのである。

 

しかも、本件処分時においては、

被上告人とDとの婚姻関係が有効であることが

判決によって確定していた上、被上告人は、

その後にDから提起された離婚請求訴訟についても

応訴するなどしていたことからもうかがわれるように、

被上告人の活動は、日本人の配偶者の

身分を有するものとしての活動に

該当するとみることができないものではない。

 

そうであれば、右在留資格変更許可処分の

効力いかんはさておくとしても、

少なくとも、被上告人の在留資格が「短期滞在」に変更されるに至った

右経緯にかんがみれば、上告人は、信義則上、

「短期滞在」の在留資格による

被上告人の在留期間の更新を許可した上で、

被上告人に対し、「日本人の配偶者等」への

在留資格の変更申請をして被上告人が「日本人の配偶者等」の

在留資格に属する活動を引き続き行うのを

適当と認めるに足りる相当の理由があるかどうかにつき

公権的判断を受ける機会を与えることを要したものというべきである。

 

三 以上によれば、被上告人が平成三年七月六日にした

在留期間の更新申請に対し、これを不許可とした本件処分は、

右のような経緯を考慮していない点において、

上告人がその裁量権の範囲を逸脱し、又は

これを濫用したものであるとの評価を免れず、

本件処分を違法とした原審の判断は、結論において

是認することができる。論旨は採用することができない。

 

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