地方税法(平成21年法律第9号による改正前のもの)700条の4第1項5号にいう「軽油の製造」

(平成22年2月16日最高裁)

事件番号  平成20(行ヒ)356

 

この裁判は、

仕入れた重油及び灯油を石油精製工場に持ち込み,

同工場を設置する会社に委託してこれらを軽油にし,

販売先に譲渡する取引を行っていた業者について,

上記業者が当該軽油の所有権を原始取得していなかった疑いが

あることのみを理由として,

上記業者は地方税法(平成21年法律第9号による改正前のもの)

700条の4第1項5号にいう

「軽油の製造」を行ったとはいえないから上記業者を同号に基づく

軽油引取税の納税義務者であると解する余地はないとした

原審の判断に違法があるとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

(1) 本件規定を始めとする法の文言や趣旨からは,

本件規定にいう「製造」が軽油の所有権を原始取得する場合に

限られると解すべき根拠を見いだすことはできない。

 

また,本件関連規定は,他の者の委託を受けて

軽油を物理的に製造したにすぎない旨主張したり,

そのような受委託を繰り返すなどの方法で

意図的に本件規定等に基づく納税義務者の特定を困難にし,

軽油引取税を免れようとする事例が生じたことから,

これに対処するため,物理的に軽油の製造を行った者等が

軽油の製造に実質的に荷担したことを理由として,

これらの者に軽油引取税の補完的納税義務を課す趣旨のものと解される。

 

このような趣旨からすれば,本件関連規定は,

本件規定等に基づく軽油引取税の納税義務者が

他に存在することが明らかである場合はもとより,

上記納税義務者が存在するか否かが不明である場合

(すなわち,物理的に軽油の製造を行った者が,

実際には本件規定等に基づく本来の納税義務者である

可能性を排除することができない場合)にも

適用し得るものと解すべきである。

 

そうすると,本件関連規定にいう「軽油の製造を行った者」と

本件規定に基づく軽油引取税の納税義務者とを原審のように

峻別すべき理由はないといわざるを得ない。

 

したがって,軽油の製造及び譲渡に関与した行為者が

複数存在する場合において,

造り出された軽油の原始的所有権の帰属に加え,

軽油の製造及び譲渡に係る全過程における

各行為者の行為態様及びその意図,

各行為者間における利益及びリスクの帰属等の諸要素を

総合的に勘案した結果,上記過程において

実質的に果たしていた役割からみて,

ある者が当該軽油を製造してこれを他に譲渡していたものと

評価することができるときには,

その者が法的にみて当該軽油の所有権を

原始的に取得したとはいえないというだけの理由で,

本件規定に基づく納税義務者に当たらないということはできない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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