地方税法73条の21第1項ただし書にいう「当該固定資産の価格により難いとき」の意義

(平成6年4月21日最高裁)

事件番号  平成4(行ツ)196

 

最高裁判所の見解

1 固定資産税の課税対象となる土地及び

家屋(発電所及び変電所を除く。)と

不動産取得税の課税対象となる土地及び家屋とは同一であり

(法三四一条二号、三号、七三条一号ないし三号参照)、

両税の課税標準である不動産の価格も等しく適正な

時価をいうものとしている(法三四一条五号、七三条五号参照)。

 

そして、法は、固定資産課税台帳に登録される

固定資産の価格が適正な時価であるようにするため、

市町村長等が行う固定資産の評価及び価格の決定は

自治大臣により定められた評価の基準並びに

評価の実施の方法及び手続(固定資産評価基準)に基づいて

行い(法三八八条以下参照)、決定された価格については

固定資産税の納税者に不服申立ての機会を与える(法四三二条以下参照)などの

規定を設け、さらに、このようにして

固定資産課税台帳に登録された基準年度の価格についても、

第二年度、第三年度において、

「地目の変換、家屋の改築又は損壊その他

これらに類する特別の事情」等が生じたため基準年度ないし

第二年度の価格によることが不適当、不均衡となる場合には、

これによらずに当該不動産に類似する不動産の基準年度の価格に

比準する価格によることとする(法三四九条一項ないし三項参照)などの

規定を設けている。そこで、道府県知事が

不動産取得税の課税標準である不動産の価格を定めるに当たっては、

原則として、固定資産課税台帳の登録価格に

よることとし(法七三条の二一第一項本文参照)、

両税間における不動産の評価の統一と徴税事務の

簡素化を図ったものである。

 

そうであるとすると、法七三条の二一第一項ただし書にいう

「当該固定資産の価格により難いとき」とは、

当該不動産につき、固定資産税の賦課期日後に増築、

改築、損壊、地目の変換その他特別の事情が生じ、

その結果、右登録価格が当該不動産の適正な時価を

示しているものということができないため、

右登録価格を不動産取得税の課税標準としての

不動産の価格とすることが適当でなくなった場合を

いうものと解すべきである。

 

したがって、不動産取得税の納税者は、

右登録価格を課税標準としてされた賦課処分の取消訴訟においては、

当該不動産の時価と右登録価格とに隔差があることを

主張するだけでは足りず、それが、

賦課期日後に生じた右にいう

特別の事情によるものであることをも主張する

必要があるものというべきである。

 

2 これを本件についてみると、被上告人は、

本件建物の取得時の価格と固定資産課税台帳の登録価格とに

隔差があることを主張するのみで、

それが賦課期日後に生じた特別の事情によるものであることを

主張していないのであるから、本件賦課処分が

法七三条の二一第一項ただし書に違反する

違法がある旨の主張としては失当というべきである。

 

三 以上によれば、右と異なる解釈の下に

被上告人の本訴請求を認容した原判決には、

法令の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ず、

その違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。

 

この趣旨をいう論旨は理由があり、

その余の上告理由について判断するまでもなく、

原判決は破棄を免れない。

 

そして、以上に述べたところからすれば、

本件賦課処分に違法があるとはいえないので、

その取消しを求める被上告人の本訴請求は理由がなく、

これを棄却した第一審判決は正当であって、

被上告人の控訴を棄却すべきである。

 

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