地方自治法に基づく怠る事実の違法確認等,地方自治法に基づく怠る事実の違法確認請求事件

(平成23年10月27日最高裁)

事件番号  平成22(行ツ)463

 

この裁判は、

市の住民が市長に対し損失補償契約に基づく

金融機関等への公金の支出の差止めを求める訴えが

不適法とされた事例です。

 

最高裁判所の見解

記録によれば,上記株式会社は原判決言渡し後に清算手続に移行しており,

当該手続において,同社の債務のうち市が本件各契約によって

損失の補償を約していた部分については,

既に上記金融機関等に全額弁済されたことが認められるから,

市が将来において本件各契約に基づき上記金融機関等に対し

公金を支出することとなる蓋然性は存しない。

 

そうすると,本件においては,

地方自治法242条の2第1項1号に基づく

差止めの対象となる行為が行われることが相当の確実さをもって

予測されるとはいえないことが明らかである。

 

したがって,被上告人が上告人に対し本件各契約に基づく

上記金融機関等への公金の支出の差止めを求める訴えは,

不適法というべきである。上記訴えに係る請求につき

本案の判断をした原判決は失当であることに帰するから,

原判決中同請求に係る部分を破棄し,

同部分につき第1審判決を取り消し,

上記訴えを却下すべきである。

 

そして,上記訴えは,不適法で

その不備を補正することができないものであるから,

当裁判所は,口頭弁論を経ないで上記の判決をすることとする。

 

他方,その余の本件上告は上記2の理由により棄却すべきである。

 

4 なお,付言するに,地方公共団体が法人の事業に関して

当該法人の債権者との間で締結した損失補償契約について,

財政援助制限法3条の規定の類推適用によって

直ちに違法,無効となる場合があると解することは,

公法上の規制法規としての当該規定の性質,

地方自治法等における保証と損失補償の法文上の区別を踏まえた

当該規定の文言の文理,保証と損失補償を

各別に規律の対象とする財政援助制限法及び地方財政法など

関係法律の立法又は改正の経緯,地方自治の本旨に沿った議会による

公益性の審査の意義及び性格,

同条ただし書所定の総務大臣の指定の要否を含む

当該規定の適用範囲の明確性の要請等に照らすと,

相当ではないというべきである。

 

上記損失補償契約の適法性及び有効性は,

地方自治法232条の2の規定の趣旨等に鑑み,

当該契約の締結に係る公益上の必要性に関する

当該地方公共団体の執行機関の判断にその裁量権の範囲の逸脱又は

その濫用があったか否かによって

決せられるべきものと解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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