地方自治法232条の2所定の公益上の必要性の判断に関する県の裁量権の範囲

(平成18年1月19日最高裁)

事件番号  平成15(行ヒ)299

 

この裁判は、

県が県議会議員の職にあった者を会員とする

元県議会議員会の事業を補助するために行った

補助金の支出が地方自治法232条の2所定の

公益上の必要性の判断に関する県の裁量権の

範囲を逸脱したものとして違法であるとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

事実関係によれば,本件各補助金の対象となった事業は,

いずれも被上告人元議員会の会員を対象とした内部的な行事等であって,

住民の福祉に直接役立つものではなく,

その事業それ自体に公益性を認めることはできない。

 

また,前記事実関係によれば,本件各補助金の交付の趣旨は,

県議会議員の職にあった者の功労に報いることと,

その者らに引き続き県政の発展に

寄与してもらうことにあるということができるが,

県議会議員の職にあった者も,その職を退いた後は,

もはや県民を代表する立場にはないのであるから,

上記の趣旨により被上告人元議員会の内部的な

事業に要する経費を補助するとしても,

県議会議員の職にあった者に対する礼遇として

社会通念上是認し得る限度を超えて

補助金を交付することは許されないというべきである。

 

ところが,本件各補助金の交付は,その金額が平成11年度が

450万円,平成12年度が241万1026円であって,

被上告人元議員会の事業の内容や会員数に照らしても,

県議会議員の職にあった者に対する礼遇として

社会通念上是認し得る限度を超えるものといわざるを得ない。

 

そうすると,本件各補助金の交付につき

地方自治法232条の2の

「公益上必要がある場合」に当たるものと認めた県としての

判断は裁量権の範囲を逸脱したものであって,

本件各補助金の支出は全体として違法というべきである。

 

以上によれば,本件各補助金の支出に

違法性はないとした原審の判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな

法令の違反があるというべきである。

 

論旨は理由があり,原判決のうち

本件各補助金の支出に係る請求に関する部分は

破棄を免れない。そして,同請求に関し,

被上告人B1及び被上告人元議員会の故意又は過失並びに

被上告人B2及び被上告人B3の故意又は重過失の有無を審理させるとともに,

被上告人元議員会の故意又は過失が否定された場合の

予備的請求の当否について審理させるため,

本件を原審に差し戻すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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