地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由

(平成17年12月15日最高裁)

事件番号  平成14(行ヒ)325

 

この裁判は、

食糧費の支出の日から1年を経過して

住民監査請求がされたことについて

地方自治法242条2項ただし書にいう

正当な理由があるとはいえないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって

調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に

当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には,

法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無は,

特段の事情のない限り,当該普通地方公共団体の住民が

相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に

当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から

相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきである

(最高裁平成10年(行ツ)第69号,第70号同14年9月12日

第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁参照)。

 

前記事実関係等によれば,本件団体は,平成8年7月3日,

市の平成7年度の食糧費の支出に関する文書について

本件情報公開請求をしたが,食糧費の支出の内容を知るに足りる

文書の公開を受けることができなかったところ,

同9年8月19日,本件情報公開請求に係る

一般支出決議書等の文書を交付され,それにより,

個別の食糧費の支出の日,金額,その内訳及び債権者名並びに

食糧費の支出に係る会合の場所,出席人数及び市側の出席者が

明らかになったのであるから,

支出の件数が多数に及ぶものであったとしても,

本件団体の構成員は,同日において,

監査請求をするに足りる程度に本件各支出の存在及び

内容を知ることができたというべきである。

 

また,同日ころには,市の一般住民においても,

同様の手続を採るなど相当の注意力をもって

調査すれば客観的にみて本件各支出について

監査請求をするに足りる程度にその存在及び内容を

知ることができたというべきである。

 

そうすると,そのころから約4か月弱の期間が

経過した同年12月15日にされた本件監査請求は,

前記の相当な期間内にされたものということはできない。

 

本件各支出の件数は220件を超えるものであるが,

現に文書の公開を受けた本件団体の構成員において,

その約3か月後には前記のとおりの分析を

終えることができたのにかかわらず,

それから更に約25日を経過した後に

本件監査請求をしたというのであるから,

支出の件数が多数であることなどによって,

前記の相当な期間についての判断が左右されるものではない。

 

したがって,本件監査請求に法242条2項ただし書にいう

正当な理由があるということはできないと解すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク