地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由

( 平成18年6月1日最高裁)

事件番号  平成16(行ヒ)61

 

この裁判は、

外形からは実質的な内容を知ることができない

公金の支出につきその支出の日から1年を経過して

住民監査請求がされたことについて

地方自治法242条2項ただし書にいう

正当な理由があるとはいえないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって

調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に

財務会計上の行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には,

地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無は,

特段の事情のない限り,当該普通地方公共団体の住民が

相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて

上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から

相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきである

(最高裁平成10年(行ツ)第69号,第70号同14年9月12日

第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁参照)。

 

前記事実関係等によれば,本件支出は,

公園・緑地維持管理運営業務の費用の名目でされたものであり,

その外形からは,市の一般住民において

その実質的な内容を知ることはできない。

 

しかしながら,平成12年4月28日付けの神奈川新聞は,

前記2(3)のとおり,市は職員が勧奨に応じて

市の外郭団体に再就職した場合には

退職時の給与月額を保証する制度を実施し,

当該外郭団体に対し再就職した者の人件費の差額を補助していること,

この制度により平成11年度において公園協会に

再就職した者がいることを報道していたところ,

同新聞は神奈川県の有力紙であるから,

この報道は市の一般住民において容易に

閲読することができたものであることを勘案すると,

当該報道がされた日ころには,市の一般住民において

相当の注意力をもって調査すれば客観的に見て

監査請求をするに足りる程度にその対象とする

財務会計上の行為の存在及び内容を知ることができたというべきである。

 

ところが,本件監査請求は,そのころから

約6か月後である同年10月27日にされたというのであるから,

上告人が上記の相当な期間内に監査請求をしたものということは

できないことは明らかである。

 

したがって,本件監査請求に地方自治法242条2項ただし書にいう

正当な理由があるということはできないと解すべきである。

 

上記の報道と同時期に同旨の報道をした全国紙があったが,

その内容の一部に誤りがあったという事情や,

市の担当職員が市議会において本件支出が本件要領等に基づき

支払われる人件費の差額分に相当する旨の具体的な

説明をしたのが同年9月8日であったという事情などがあったとしても,

前記の判断が左右されるものではない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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