境界の全部に接続する土地部分の時効取得と境界確定の訴えの当事者適格

(平成7年3月7日最高裁)

事件番号  平成6(オ)1728

 

最高裁判所の見解

境界確定を求める訴えは、公簿上特定の地番により表示される

甲乙両地が相隣接する場合において、

その境界が事実上不明なため争いがあるときに、

裁判によって新たにその境界を定めることを求める訴えであって、

裁判所が境界を定めるに当たっては、当事者の主張に拘束されず、

控訴された場合も民訴法三八五条の

不利益変更禁止の原則の適用もない

(最高裁昭和三七年(オ)第九三八号同三八年一〇月一五日第三小法廷判決・

民集一七巻九号一二二〇頁参照)。右訴えは、もとより土地所

有権確認の訴えとその性質を異にするが、

その当事者適格を定めるに当たっては、

何ぴとをしてその名において訴訟を追行させ、

また何ぴとに対し本案の判決をすることが必要かつ

有意義であるかの観点から決すべきであるから、

相隣接する土地の各所有者が、境界を確定するについて

最も密接な利害を有する者として、

その当事者となるのである。

 

したがって、右の訴えにおいて、

甲地のうち境界の全部に接続する部分を

乙地の所有者が時効取得した場合においても、

甲乙両地の各所有者は、境界に争いがある

隣接土地の所有者同士という関係にあることに変わりはなく、

境界確定の訴えの当事者適格を失わない。

 

なお、隣接地の所有者が他方の土地の一部を時効取得した場合も、

これを第三者に対抗するためには登記を

具備することが必要であるところ、

右取得に係る土地の範囲は、両土地の境界が明確にされることによって

定まる関係にあるから、登記の前提として

時効取得に係る土地部分を分筆するためにも

両土地の境界の確定が必要となるのである

(最高裁昭和五七年(オ)第九七号

同五八年一〇月一八日第三小法廷判決・

民集三七巻八号一一二一頁参照)。

 

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