外国法人税

(平成21年12月3日最高裁)

事件番号  平成20(行ヒ)43

 

外国法人税といえるためには,

それが租税でなければならないことはいうまでもないから,

外国の法令により名目的には税とされているものであっても,

実質的にみておよそ税といえないものは,

外国法人税に該当しないというべきである。

 

原審は,前記のとおり,本件外国税は,強行性,

公平性ないし平等性と相いれないものであり,

その実質はタックス・ヘイブン対策税制の適用を回避させるという

サービスの提供に対する対価としての性格を有するものであって,

そもそも租税に該当しないと判断した。

 

確かに,前記事実関係等によれば,

本件外国税を課されるに当たって,

本件子会社にはその税率等について

広い選択の余地があったということができる。

 

しかし,選択の結果課された本件外国税は,

ガーンジーがその課税権に基づき法令の定める

一定の要件に該当するすべての者に課した

金銭給付であるとの性格を有することを否定することはできない。

 

また,前記事実関係等によれば,本件外国税が,

特別の給付に対する反対給付として

課されたものでないことは明らかである。

 

したがって,本件外国税がそもそも租税に

該当しないということは困難である。

 

(2) 次に,本件外国税の外国法人税該当性について検討する。

ア 法人税法69条1項は,外国法人税について,

「外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定めるもの」

をいうと定め,外国の租税が外国法人税に該当するといえるには,

それが我が国の法人税に相当する税でなければならないとしている。

 

これを受けて,法人税法施行令141条は,

1項において外国法人税の意義を

「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により

法人の所得を課税標準として課される税」と定めるほか,

外国又はその地方公共団体により課される税のうち,

外国法人税に含まれるものを2項1号から4号までに列挙し,

外国法人税に含まれないものを3項1号から5号までに列挙している

(ただし,平成13年政令第135号による改正前の同項は,

同改正後の同項5号に規定するもののみを挙げて,

これが外国法人税に含まれないものとすると規定していた。)。

 

以上の規定の仕方によると,外国法人税について

基本的な定義をしているのは同条1項であるが,

これが形式的な定義にとどまるため,同条2項及び3項において

実質的にみて法人税に相当する税及び

相当するとはいえない税を具体的に掲げ,

これにより,同条1項にいう外国法人税の

範囲を明確にしようとしているものと解される。

 

前記事実関係等によれば,本件においては,

本件外国税が同条3項1号に規定する

「税を納付する者が,当該税の納付後,

任意にその金額の全部又は一部の還付を

請求することができる税」又は2号に規定する

「税の納付が猶予される期間を,

その税の納付をすることとなる者が任意に定めることができる税」

に該当するか否かが検討の対象になり得るところ,

以上の理解を前提にすると,同項1号又は2号に該当する税のみならず,

該当しない税であってもこれらに類する税,すなわち,

実質的にみて,税を納付する者がその税負担を

任意に免れることができることとなっているような税は,

法人税に相当する税に当たらないものとして,

外国法人税に含まれないものと解することができるというべきである。

 

しかし,租税法律主義にかんがみると,その判断は,

飽くまでも同項1号又は2号の規定に照らして行うべきであって,

同項1号又は2号の規定から離れて一般的抽象的に検討し,

我が国の基準に照らして法人税に相当する税とはいえないとして

その外国法人税該当性を否定することは許されないというべきである。

 

前記事実関係等によれば,本件外国税は,

本件子会社の平成11年から同14年までの各事業年度において,

ガーンジーの法令に基づきガーンジーにより

本件子会社の所得をそれぞれ課税標準として

課された税に当たるということができ,

形式的に同条1項にいう外国法人税の定義に

該当するものというべきである。

 

ウ そこで,本件外国税が実質的にみて

外国法人税に含まれないものとされる同条3項1号又は

2号に規定する税に該当するかをみると,まず,

前記事実関係等によれば,ガーンジーにおいて

国際課税法人が納付した税については,

標準税率課税又は段階税率課税による税とは異なり,

納付後,さかのぼって免税の申請をすることができるとはされておらず,また,

これについて還付請求をすることができるともされていない。

 

そうすると,本件外国税は,同項1号に

規定する税に該当するということはできない。

 

また,前記事実関係等によれば,本件外国税は,

納付が猶予される期間を本件子会社が

任意に定めることができたとはされていないから,

同項2号に規定する税にも該当しない。

 

エ さらに,本件外国税が実質的にみて同項1号又は

2号に規定する税に類するような任意に

その税負担を免れることができることと

なっている税といえるかについて検討する。

 

前記事実関係等によれば,本件外国税は,

その税率が納税者と税務当局との合意により決定されるなど,

納税者の裁量が広いものではあるが,

その税率の決定については飽くまで税務当局の承認が

必要なものとされているのであって,納税者の選択した税率が

そのまま適用税率になるものとされているわけではない。

 

また,ガーンジーにおいて,

所定の要件を満たす団体が免税の申請をした場合

(標準税率課税又は段階税率課税を受けた法人がさかのぼって

免税の申請をした場合を含む。)に,

常にそれが認められるという事実は確定されていない。

 

したがって,本件子会社は,その任意の選択により

税負担を免れることができたのにあえて

国際課税資格による課税を選択したということもできない。

 

むしろ,前記のとおり,本件子会社は,

税率26%の本件外国税を納付することによって実質的にみても

本件外国税に相当する税を現に負担しており,

これを免れるすべはなくなっているものというべきである。

 

そうすると,本件外国税を同項1号又は2号に規定する

税に類する税ということもできないというべきである。

 

オ 結局,前記事実関係等の下において,

本件外国税が法人税に相当する税に

該当しないということは困難である。

 

(3) 以上のとおり,本件外国税は,

ガーンジーの法令に基づきガーンジーにより

本件子会社の所得を課税標準として課された税であり,

そもそも租税に当てはまらないものということはできず,また,

外国法人税に含まれないものとされている

法人税法施行令141条3項1号又は2号に規定する税にも,

これらに類する税にも当たらず,

法人税に相当する税ではないということも困難であるから,

外国法人税に該当することを否定することはできない

 

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