大阪府情報公開条例(平成11年大阪府条例第39号)9条1号所定の非公開情報

(平成18年7月13日最高裁)

事件番号  平成16(行ヒ)117

 

この裁判は、

 

府が個人から取得した事業用地の取得価格,府の土地開発公社が

個人から取得し又は個人に譲渡した事業用地の代替地の取得価格及び

譲渡価格並びに上記公社の土地評価審査会が上記代替地の評価額を答申した際の

評価答申額等に関する情報が大阪府情報公開条例

(平成11年大阪府条例第39号)9条1号所定の非公開情報である

「個人の財産,所得等に関する情報であって,

特定の個人が識別され得るもののうち,一般に他人に知られたくないと

望むことが正当であると認められるもの」に当たらないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

事実関係等によれば,大阪府における事業用地の取得価格は,

「公共用地の取得に伴う損失補償基準」等に基づいて,

公示価格との均衡を失することのないよう配慮された

客観的な価格として算定された価格を上限とし,

正常な取引価格の範囲内で決定され,

公社による代替地の取得価格及び譲渡価格は,

公示価格を規準とし,公示価格がない場合又は

これにより難い場合は近傍類地の取引価格等を

考慮した適正な価格によるものとされているというのである。

 

そうすると,当該土地の買収価格等に売買の当事者間の

自由な交渉の結果が反映することは比較的少ないというべきである。

 

そして,当該土地の買収価格等に影響する諸要因,

例えば,駅や商店街への接近の程度,周辺の環境,

前面道路の状況,公法上の規制,当該土地の形状等については,

一般に周知されている事項か,

容易に調査することができる事項であり,

これらの価格要因に基づいて上記のとおり決定される

価格及びその単価は,一般人であれば

おおよその見当をつけることができる

一定の範囲内の客観的な価格であるということができる。

 

したがって,上記の買収価格等をもって公社に土地を買収され,

又は公社から土地を取得したことは,

個人である土地の所有者等にとって,

私事としての性質が強いものではなく,

これに関する情報は,性質上公開に親しまないような

個人情報であるとはいえない。

 

また,前記事実関係等によれば,公社による

代替地の取得価格及び譲渡価格は評価答申額等と

同額である場合が多いというのであるから,

評価答申額等は,代替地の取得価格及び譲渡価格から

推知されるものというべきである。

 

そして,代替地の取得価格及び譲渡価格が

一般人であればおおよその見当をつけることができる

一定の範囲内の客観的な価格であることは上記のとおりであるから,

これらの価格から推知される評価答申額等に関する情報も,

性質上公開に親しまないような個人情報であるとはいえない。

 

したがって,土地の所有者等が個人である場合の

本件記載部分に関する情報は,

いずれも本件条例9条1号所定の

非公開情報に該当しないというべきである。

 

そして,上述したところによれば,

上記部分に関する情報を公開することによって,

大阪府における今後の用地買収事務の公正かつ適切な執行に

著しい支障を及ぼすおそれがあるということはできないから,

上記情報は,いずれも本件条例8条4号所定の

非公開情報に該当しないというべきである。

 

(2) 土地の所有者等が法人又は国等である場合の

本件記載部分に関する情報について

前記事実関係等によれば,土地の所有者等が

法人である場合の本件記載部分に関する情報は,

買収価格等又は評価答申額等に関する情報であるというのである。

 

買収価格等及び評価答申額等は,

前記のとおり決定されるというのであるから,

これらの価格に関する情報を公にすることにより

当該法人の競争上その他正当な利益を害するとは認め難い。

 

また,上述したところによれば,土地の所有者等が

法人又は国等である場合の本件記載部分に

関する情報を公開することによって,

大阪府における今後の用地買収事務の公正かつ

適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあるということはできない。

 

したがって,上記情報は,いずれも

本件条例8条1号又は4号所定の

非公開情報に該当しないというべきである。

 

5 以上によれば,本件記載部分に関する情報が

本件条例8条1号,同条4号又は9条1号所定の

非公開情報に該当するとした原審の前記判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

 

論旨は理由があり,原判決のうち

上記判断に係る部分は破棄を免れない。

そして,以上説示したところによれば,

本件処分のうち本件記載部分を非公開とした部分は違法であり,

同部分について請求を認容した第1審判決は正当であるから,

同部分に対する被上告人の控訴を棄却すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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