奈良県食糧費情報公開請求事件

(平成14年9月12日最高裁)

事件番号  平成11(行ヒ)50

 

最高裁判所の見解

(1) 本件条例10条3号に該当するというためには,

当該情報を開示することによって当該事業者の競争上又は

事業運営上の地位,社会的信用その他正当な利益が損なわれると

認められることを要するところ,元来は事業者が

内部限りにおいて管理して開示すべき

相手方を限定する利益を有する情報であっても,

事業者がそのような管理をしていないと認められる場合には,

これが開示されることにより正当な利益等が損なわれると

認められることにはならないものというべきである。

 

(2) 本件非開示情報のうち口座番号等は,

飲食代金の請求書に飲食業者である

債権者が記載したものであり,

代金の振込送金先を指定する趣旨のものであると認められる。

 

そして,一般的な飲食業者の業務態様をみれば,

不特定多数の者が新規にその顧客となり得るのが通例であり,

代金の請求書に口座番号等を記載して

顧客に交付している飲食業者にあっては,

口座番号等を内部限りにおいて管理することよりも,

決済の便宜に資することを優先させているものと考えられ,

請求書に記載して顧客に交付することにより,

口座番号等が多数の顧客に広く知れ渡ることを容認し,

当該顧客を介してこれが更に

広く知られ得る状態に置いているものということができる。

 

このような情報の管理の実態にかんがみれば,

顧客が奈良県であるからこそ債権者が特別に口座番号等を開示したなど

特段の事情がない限り,本件非開示情報のうち口座番号等は,

これを開示しても債権者の正当な利益等が損なわれると

認められるものには当たらないというべきである。

 

そして,本件において上記の特段の事情があることは,

原審により確定されていない。

 

(3) 本件非開示情報のうち印影は,

債権者の請求書に押なつされているものであり,

通常は銀行取引に使用する印章を請求書に押なつすることはないと考えられるから,

原審が前記判断の前提として

これを銀行印の印影であるとしていることには,

誤りがあるといわざるを得ない。

 

そして,(2)に述べたところからすれば,

請求書に押なつされている飲食業者の印影は,

これを開示しても債権者の正当な利益等が損なわれると

認められるものには当たらないことが明らかである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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