契約者貸付制度
(平成9年4月24日最高裁)
事件番号 平成5(オ)1951
最高裁判所の見解
原審の適法に確定したところによれば、
本件生命保険契約の約款には、
保険契約者は被上告人から解約返戻金の
九割の範囲内の金額の貸付けを受けることができ、
保険金又は解約返戻金の支払の際に右貸付金の元利金が
差し引かれる旨の定めがあり、本件貸付けは、
このようないわゆる契約者貸付制度に基づいて行われたものである。
右のよう貸付けは、約款上の義務の履行として行われる上、
貸付金額が解約返戻金の範囲内に限定され、
保険金等の支払の際に元利金が
差引計算されることにかんがみれば、
その経済的実質において、保険金又は
解約返戻金の前払と同視することができる。
そうすると、保険会社が、右のような制度に基づいて
保険契約者の代理人と称する者の申し込みによる
貸付を実行した場合において、右の者を保険契約者の
代理人と認定するにつき相当の注意義務を尽くしたときは、
保険会社は、民法四七八条の類推適用により、
保険契約者に対し、右貸付けの効力を主張することが
できるものと解するのが相当である。
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