宅地の所有者が他人の設置した給排水設備を当該宅地の給排水のため使用することの可否

(平成14年10月15日最高裁)

事件番号  平成13(受)1841

 

最高裁判所の見解

民法220条は,土地の所有者が,浸水地を乾かし,

又は余水を排出することは,当該土地を利用する上で

基本的な利益に属することから,高地の所有者にこのような

目的による低地での通水を認めたものである。

 

同法221条は,高地又は低地の

所有者が通水設備を設置した場合に,

土地の所有者に当該設備を使用する権利を認めた。

 

その趣旨とするところは,土地の所有者が

既存の通水設備を使用することができるのであれば,

新たに設備を設けるための無益な費用の支出を避けることができるし,

その使用を認めたとしても設備を設置した者には

特に不利益がないということにあるものと解される。

 

ところで,現代の社会生活において,

いわゆるライフラインである水道により給水を受けることは,

衛生的で快適な居住環境を確保する上で

不可欠な利益に属するものであり,また,

下水の適切な排出が求められる現代社会においては,

適切な排水設備がある場合には,

相隣関係にある土地の高低差あるいは

排水設備の所有者が相隣地の所有者であるか否かにかかわらず,

これを使用することが合理的である。

 

したがって,宅地の所有者が,他の土地を経由しなければ,

水道事業者の敷設した配水管から当該宅地に給水を受け,

その下水を公流又は下水道等まで

排出することができない場合において,

他人の設置した給排水設備をその給排水のため

使用することが他の方法に比べて合理的であるときは,

宅地所有者に当該給排水設備の使用を認めるのが相当であり,

二重の費用の支出を避けることができ有益である。

 

そして,その使用により当該給排水設備に予定される効用を

著しく害するなどの特段の事情のない限り,

当該給排水設備の所有者には特に不利益がないし,

宅地の所有者に対し別途設備の設置及び保存の

費用の分担を求めることができる(民法221条2項)とすれば,

当該給排水設備の所有者にも便宜であるといえる。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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