宅地建物取引業法35条1項

(平成15年11月7日最高裁)

事件番号  平成14(受)458

 

最高裁判所の見解

事実関係によれば,次のことが明らかである。

(1) 本件売買契約と被上告人と上告人との間の上記の融資契約とは,

当事者を異にする別個の契約であるが,

甲は,後者の融資契約を成立させる目的で本件土地の

購入にかかわったものである。このような場合に,

甲が接道要件が具備していないことを認識していながら,

これを被上告人に殊更に知らせなかったり,

又は知らせることを怠ったりしたこと,

上告人が本件土地の売主や販売業者と業務提携等をし,

上告人の従業員が本件土地の売主等の販売活動に深くかかわっており,

甲の被上告人に対する本件土地の購入の勧誘も,

その一環であることなど,信義則上,甲の被上告人に対する説明義務を

肯認する根拠となり得るような特段の事情を原審は認定しておらず,

また,そのような事情は,記録上もうかがうことができない。

 

(2) 本件前面道路部分は,本件私道の一部であり,

本件売買契約締結当時,本件土地の売主である乙が所有しており,

不動産登記簿上の地目も公衆用道路とされていたことから,

同人が被上告人に売却した本件土地の接道要件を満たすために

本件前面道路部分につき道路位置の指定を受けること等の

乙の協力が得られることについては,その当時,

十分期待することができたのであり,本件土地は,

建物を建築するのに法的な支障が生ずる可能性の乏しい物件であった。

 

(3) 本件土地が接道要件を満たしているかどうかという点は,

宅地建物取引業法35条1項所定の重要事項として,

書面による説明義務がある。本件売買契約においては,

売主側の仲介業者である丙株式会社が

その説明義務を負っているのであって,

甲に同様の義務があるわけではない。

 

これらの諸点にかんがみると,前記のとおり,

上告人の従業員である甲が,被上告人に対し,

上告人から融資を受けて本件土地を購入するように積極的に勧誘し,

その結果として,被上告人が本件売買契約を

締結するに至ったという事実があったとしても,

その際,甲が被上告人に対して本件土地が

接道要件を満たしていないことについて

説明をしなかったことが,法的義務に違反し,

被上告人に対する不法行為を構成するということは

できないものというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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