宇都宮宝石店放火強盗殺人事件
(平成19年2月20日最高裁)
事件番号 平成15(あ)1120
本件は,女性従業員ばかりの高級宝飾品店をねらい,
従業員らを殺害して高額な宝飾品を強取することを企て,
ガソリンを店舗内に散布した上で放火し,
宇都宮市内の繁華街にある店を全焼させて従業員6名を
火傷死ないし焼死により殺害するとともに,
1億4000万円強の宝飾品を強取したという
強盗殺人,現住建造物等放火の事案である。
人を殺してでも一挙に大金を獲得しようと周到に準備し,
計画どおりの犯行に及んだ本件の経緯や動機は,
利欲目的が強い誠に自己中心的なもので,酌量の余地は全くない。
従業員全員の手足を縛り,目隠しまでした上で
店内奥の休憩室に押し込め,その出入口付近などに
用意したガソリンをまき散らしてライターで点火し,
現場を火の海にして店もろとも
焼き殺した殺害の態様に至っては,
強固な殺意の下にガソリンによる放火という手段を選択,
実行したもので,冷酷かつ残虐極まりない。
何の落ち度もない6名の生命を奪うなどした結果は極めて重大であり,
最愛の母,妻,あるいは娘を突然奪われた
遺族らの処罰感情は非常に厳しい。
凶悪な本件犯行が社会に及ぼした影響も甚大である。
以上のような犯情に照らすと,被告人の刑事責任は極めて重大であり,
被告人のために酌むべき情状を考慮しても,
原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,
当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
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