完成品に組み込まれた部品の商標について商標権侵害罪

(平成12年2月24日最高裁)

事件番号  平成8(あ)342

 

最高裁判所の見解

本件は、いわゆるパチスロ機「A」(以下「A」という。)を

製造販売する会社の代表取締役である被告人が、同会社の従業員らと共謀の上、

何ら権限がないのに、(一)シャープ株式会社が

電子応用機械器具等を指定商品として商標登録を

受けている「SHARP」(横書)と同一の商標(以下「本件商標」という。)を

付した電子部品約一万個を、Aの主基板に取り付けて販売する目的で所持し、

(二)右電子部品を取り付けたA六一台を販売して譲渡し、

もって、シャープ株式会社の商標権を侵害したとして、

商標法(平成五年法律第二六号による改正前のもの)七八条違反の罪により

起訴された事案である。原判決の認定によると、

本件の事実関係は、次のとおりである。

 

右電子部品は、被告人らが、Aに組み込み販売する目的で

他から入手したCPU(中央処理装置、以下「本件CPU」という。)であるが、

入手前に何者かがシャープ株式会社の許諾を得ることなく

これに本件商標を付していた。被告人らは、

本件商標がシャープ株式会社の許諾を得ることなく

付されたものであることを認識しながら、

本件CPUを、Aの電子制御をつかさどる構成部分である主基板に、

他の電子部品とともに半田付けするなどして装着した上、

その主基板を、透明又は半透明のプラスチックケースで覆い、

Aの本体とは別に保管していた。本件CPUは、

主基板に装着された後も、元の外観及び形態を保っており、

それに付された本件商標は、

ケースを通してもこれを視認することができた。

 

Aは、中間の販売業者を通じてパチンコ店に販売され、

その際、本体と主基板が別々に配送された後、

パチンコ店で本体内の最上部に主基板が差し込まれるなどして

組み立てられ設置されていた。主基板は、

Aの本体とは別にパチンコ店に備え置く補修用部品としても販売され、

Aの主基板が故障した場合にこれと交換されることもあった。

 

主基板に装着された本件CPU及びそれに付された本件商標は、

Aの外観上は視認することができないが、

右のようなAの流通過程において、

中間の販売業者やパチンコ店関係者に視認される可能性があった。

 

以上の事実関係の下では、本件商標は、本件CPUが主基板に装着され、

その主基板がAに取り付けられた後であっても、

なお本件CPUについての商品識別機能を保持していたものと認められるから、

前記起訴に係る被告人らの各行為について、

商標法(前記改正前のもの)七八条の商標権侵害の罪が

成立するとした原判決の判断は、正当である。

 

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