宗教法人の代表役員及び責任役員の地位にあることの確認を求める訴え

(平成11年9月28日最高裁)

事件番号  平成8(オ)754

 

最高裁判所の見解

上告人の請求は、上告人が

被上告人の代表役員及び責任役員の地位にあることの

確認を求めるものであるが、原審は、要するに、

Iが被上告人の包括宗教法人であるJの法主として

上告人に対してした住職罷免処分の効力の有無が本件請求の当否を

決する前提問題となっており、IがJの教義にいう

血脈相承を受け右処分の権限を有する法主の地位に就いたかどうかが、

本件紛争の本質的な争点となっているとともに、

右処分の効力を判断するために不可欠であるところ、

右の点を判断するためには、Jの教義及び信仰の内容に

立ち入って血脈相承の意義を明らかにすることが必要であるから、

本件訴訟は、結局、法令の適用によって

最終的解決を図ることのできない訴訟であり、

裁判所法三条にいう「法律上の争訟」に当たらないとして、

これを却下している。

 

所論は、原審の右判断の違法、違憲をいうが、

本件記録によって認められる本件紛争の経緯及び

当事者双方の主張に照らせば、本件は、宗教団体と

その外部の者との間における一般民事上の紛争などとは異なり、

宗教団体内部における教義及び信仰の内容を本質的な争点とするものであり、

訴訟の争点につき判断するために

宗教上の教義及び信仰の内容について

一定の評価をすることを避けることができないものであるから、

本件訴訟は法令の適用によって最終的解決を

図ることのできないものであって、

上告人の訴えを却下すべきものとした原審の判断は、

是認することができる。

 

また、所論は、本件請求が法律上の地位の確認を求めるものであり、

請求原因事実に争いがないのであるから、

宗教上の教義及び信仰の内容に係る抗弁事実を

不適法として排斥し本件請求を認容すべきであるというが、

法律上の地位の確認を求める請求であっても、

請求の当否を判断するために抗弁事実について

判断することが不可欠であり、かつ、

当該抗弁事実が宗教上の教義及び信仰の内容に係り裁判所が

これを審理判断することが許されない場合においては、

抗弁事実のみを不適法として排斥することは許されず、

当該訴えは不適法として却下されるべきものである。

 

原判決に所論の違法はなく、右違法のあることを前提とする

所論違憲の主張も失当である。論旨は採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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