宗教法人の所有する建物の明渡しを求める訴えが法律上の争訟に当たるか

(平成5年7月20日最高裁)

事件番号  平成2(オ)1231

 

最高裁判所の見解

上告人らの請求は、上告人らが、本件各建物の所有権に基づき、

それぞれ被上告人らに対し、その明渡しを

求めるものであるが、原審は、要するに、

上告人らの包括宗教法人であるDが被上告人らに

対してした懲戒処分(以下「本件処分」という。)

の効力の有無が本件請求の当否を決する前提問題となっており、

その効力の有無が本件紛争の本質的な争点となっているとともに、

その効力についての判断が本件訴訟の帰すうを決するものであるところ、

右の点の判断をするためには、本件処分における懲戒事由の存否及び

懲戒権限の有無等を審理する必要があり、かつ、

それはDの教義ないし信仰の内容に深くかかわるものであるから、

結局、右宗教上の問題に立ち入らないで

争点の核心につき審理、判断することができないとし、

最高裁昭和六一年(オ)第九四三号平成元年九月八日第二小法廷判決・

民集四三巻八号八八九頁に従い、上告人らの訴えは、

その実質において、裁判所法三条にいう「法律上の争訟」

に該当しないとして、これを却下している。

 

所論は、原審の右の判断の違憲、違法をいうが、

本件記録によって認められる上告人らが

本件訴訟を提起するに至った本件紛争の経緯及び

当事者双方の主張並びに本件訴訟の経過に照らせば、

本件訴訟の争点を判断するには、宗教上の教義ないし

信仰の内容について一定の評価をすることを

避けることができないことは否定し得ないのであるから、

本件事案の下において上告人らの訴えを却下すべきものとした

原審の判断は是認することができる。

 

原判決に所論の違法はなく、右違法のあることを

前提とする所論違憲の主張も失当である。

論旨は採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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