宗教法人の所有する建物の明渡しを求める訴えが法律上の争訟に当たるか

(平成5年9月10日最高裁)

事件番号  平成2(オ)570

 

最高裁判所の見解

一 上告人の請求は、宗教法人である上告人が、

本件建物の所有権に基づき、被上告人に対し、

その明渡しを求めるものであるが、原審は、

最高裁昭和六一年(オ)第九四三号平成元年九月八日第二小法廷判決・

民集四三巻八号八八九頁を引用し、

要旨、次のとおりの判断を示して、本件訴えを却下した。

 

本件における最も重要な争点は、上告人の包括宗教法人である

Dの管長として被上告人に対する懲戒処分を行ったEが

管長の地位を有するか否かであるが、

管長は宗教団体であるDの法主の地位にある者をもって

充てるものとされているから、

本件訴えは、Eが法主の地位に就任したか否かの

判断を必要不可欠の前提とする。

 

しかし、Dにおいては、法主は血脈を相承した者とされているので、

Eが法主の地位にあるか否かを判断するためには、

Dにおける血脈相承の意義を明らかにした上で、

同人が血脈を相承したか否かを審理判断しなければならない。

 

そのためには、Dにおける教義ないし

信仰の内容に立ち入って審理判断しなければならないことになるから、

結局、本件は、その実質において、

裁判所法三条にいう「法律上の争訟」には当たらない。

 

二 所論は、原審の右の判断の違憲、違法をいうが、

本件記録によって認められる上告人が

本件訴訟を提起するに至った本件紛争の経緯及び

当事者双方の主張並びに本件訴訟の経過に照らせば、

本件訴訟の争点を判断するには、

宗教上の教義ないし信仰の内容について

一定の評価をすることを避けることが

できないことは否定しえないのであるから、

本件訴えを却下すべきものとした原審の判断は、

正当として是認することができる。

 

原判決に所論の違法はなく、

右違法のあることを前提とする所論違憲の主張は、

その前提を欠く。論旨は採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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