宗教法人法26条,宗教法人法78条1項

(平成12年9月7日最高裁)

事件番号  平成9(オ)1077

 

最高裁判所の見解

宗教法人法七八条一項は、他の宗教法人を

包括する宗教団体(以下「包括宗教団体」という。)は、

その包括する宗教法人(以下「被包括宗教法人」という。)と

当該包括宗教団体との「被包括関係の廃止を防ぐことを目的として、

又はこれを企てたことを理由として」、

被包括宗教法人の代表役員等に対し、

解任等の不利益の取扱いをしてはならない旨を定め、

同条二項は、同条一項の規定に違反してされた行為は

無効とすると定めている。

 

右各規定の趣旨は、被包括宗教法人の代表役員等が

被包括関係を廃止すべく所定の手続に従って各種の行為をしている場合に、

右の者を解任するなどの権限を有する包括宗教団体が、

その権限を利用し、右手続の進行に干渉することを禁止するものと解される。

 

包括宗教団体及び被包括宗教法人の各規則により、

被包括関係の内容の一つとして、被包括宗教法人の

責任役員の選任等につき包括宗教団体の代表者の承認を

受けるべきものとすることは、妨げられるものではなく

(宗教法人法一二条一項五号、一二号)、また、

このような場合に、包括宗教団体の代表者がその権限を行使するに当たり、

いかなる信仰上の考え等を有する者をもって

被包括宗教法人の責任役員にふさわしいものとするかは、

当該規則等に特別の定めがあるときなどを除き、

包括宗教団体の自治的な決定にゆだねられていると

解するのが相当である。

 

そうすると、包括宗教団体の代表者が

被包括関係を維持することを相当と考え、

右権限を行使したために、結果的に、

被包括宗教法人において所定の手続に従い被包括関係を

廃止することが困難となったとしても、このことから、

被包括関係の廃止を望んだ被包括宗教法人の代表役員が

その責任役員の解任に必要な承認を受けずに

これを解任すること等が許されると解すべき根拠は、見いだし難い。

 

本件においては、被包括宗教法人の代表役員が

責任役員を所定の承認を受けることなく解任し

その是正に応じなかったということを懲戒事由として

本件罷免処分がされたのであって、

同処分に違法はなかったものというべきである。

 

そして、本件罷免処分の際に、日蓮正宗が、

被包括関係は維持されるのが望ましいと考え、

同処分に伴って被包括関係の廃止の実現に支障が

生ずるであろうことを予見していたとしても、

そのことをもって、同処分が、宗教法人法七八条一項にいう

「被包括関係の廃止を防ぐことを目的として」された

不利益の取扱いに当たるということはできず、また、

これが、被包括関係の廃止を「企てたことを理由として」される

不利益の取扱いを禁止する同項の規定を

潜脱するものに当たるということもできない。

 

右のとおり、本件罷免処分を無効とした原審の前記判断には、

宗教法人法七八条一、二項の解釈適用を

誤った違法があるというべきであり、

右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

この点をいう論旨は理由があり、

その余の論旨について判断するまでもなく、

原判決は破棄を免れない。

 

そして、本件の事実関係の下においては、

本件罷免処分は、宗教法人法七八条一項の規定に違反するものとは解し難く、

同条二項によってこれを無効とすることはできないのであって、

被上告人は、同処分により上告人の主管の職を失い、

これに伴って上告人の代表役員としての地位を喪失したのであるから、

本件建物に対する被上告人の占有権原は消滅したものというべきである。

 

上告人の本件請求は理由があり、

これを認容した第一審判決の結論は正当であって、

同判決に対する被上告人の控訴は、

これを棄却すべきである。

 

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