富山の組長夫妻射殺事件

(平成21年3月23日最高裁)

事件番号  平成18(あ)2414

 

最高裁判所の見解

本件は,被告人が,(1) 共犯者らと共謀の上,

自己の所属する暴力団の組長方において,

同組長(当時56歳)及びその妻(当時52歳)を

けん銃で射殺し,その際,けん銃2丁を適合実包12個と共に

携帯して所持したという殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反のほか,

(2) 共犯者らと共謀の上,飲食店の営業を妨害する目的で店内に侵入し,

同店の設備等を損壊して営業を困難にしたという

建造物侵入,威力業務妨害,

(3) 愛人女性と共に覚せい剤を使用したという

覚せい剤取締法違反から成る事案である。

 

いずれの犯行についても,

動機・経緯に酌むべき点は認められないが,

取り分け本件殺人は,被告人らにおいて,

上記暴力団組長を排除し,被告人らの利益を図る目的で,

同組長方を標的とする襲撃計画を立てて実行に移そうとしたものの,

実行役の中国人らが逮捕されてその計画がとん挫した際,

同人らの所持していた物品が警察に証拠として押収されて,

組長夫婦が警察署へその証拠品の確認に行くことになったところ,

被告人は,組長夫婦が同証拠品を確認すれば,

自己が上記襲撃計画に関与したことが発覚し,

組長から厳しい制裁を受けると考えたことから,

これを避ける目的も加わって,実行役の共犯者に依頼して,

組長夫婦を殺害させたものである。

 

同犯行は,自宅にいた組長夫婦に対し至近距離からけん銃を発射して

即死させるという残虐な態様で敢行されており,

その罪質は極めて悪質であるところ,

被告人は実行行為には直接携わっていないものの,

実行犯に対し,凶器に使用されたけん銃を手渡したり,

組長夫婦の動静を伝えてその殺害を促すなどしており,

犯行に主体的,積極的にかかわっている。

 

2名の尊い生命を奪った結果は甚だ重大であって,

組長夫婦の一人娘を始めとする遺族らの処罰感情は極めて厳しい。

 

また,白昼,住宅街にある民家で,けん銃により

敢行された同犯行が近隣住民や社会一般に与えた影響も大きい。

 

加えて,被告人は,長年にわたって

暴力団の世界とかかわり合いを持ち続け,

多数の前科も有しているのであって,

規範意識は鈍麻しているといわざるを得ない。

 

以上のような事情に照らすと,

被告人の刑事責任は

極めて重大であるから,本件殺人のうち

上記組長の妻の殺害に関する共謀の点を除いて事実関係を認め,

反省の態度を示していることなど,

酌むべき事情を考慮しても,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,

当裁判所もこれを是認せざるを得ない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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