審査決定取消請求事件
(平成15年7月18日最高裁)
事件番号 平成11(行ヒ)182
最高裁判所の見解
伊達市長は,本件建物について
評価基準に定める総合比準評価の方法に従って
再建築費評点数を算出したところ,この評価の方法は,
再建築費の算定方法として
一般的な合理性があるということができる。
また,評点1点当たりの価額1.1円は,家屋の資材費,
労務費等の工事原価に含まれない設計監理費,
一般管理費等負担額を反映するものとして,
一般的な合理性に欠けるところはない。
そして,鉄骨造り(骨格材の肉厚が4㎜を超えるもの)の店舗及び
病院用建物について評価基準が定める経年減点補正率は,
この種の家屋について通常の維持管理がされた場合の減価の手法として
一般的な合理性を肯定することができる。
そうすると,伊達市長が本件建物について評価基準に従って
決定した前記価格は,評価基準が定める評価の方法によっては
再建築費を適切に算定することができない特別の事情又は
評価基準が定める減点補正を超える
減価を要する特別の事情の存しない限り,
その適正な時価であると推認するのが相当である。
(2) F鑑定書が採用した評価方法は,
評価基準が定める家屋の評価方法と同様,再建築費に相当する
再調達原価を基準として減価を行うものであるが,原審は,
F鑑定書の算定した本件建物の1㎡当たりの再調達原価及び
残価率を相当とする根拠を具体的に明らかにしていないため,
原審の前記説示から直ちに上記特別の事情があるということはできない。
そして,原審は,上記特別の事情について他に首肯するに足りる
認定説示をすることなく,本件建物の適正な時価が
2606万円程度を超えるものではないと判断したものであり,
その判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,
原判決は破棄を免れない。
そして,本件決定の適否について更に審理を尽くさせるため,
本件を原審に差し戻すこととする。
スポンサードリンク