工事が完了し検査済証が交付された後における開発許可の取消しを求める訴えの利益

(平成5年9月10日最高裁)

事件番号  平成3(行ツ)46

 

最高裁判所の見解

原審の適法に確定した事実関係の下において、

本件各処分及び裁決の取消しを求める本件訴えを

いずれも不適法とした原審の判断は、

正当として是認することができる。

 

都市計画法二九条ないし三一条及び

三三条の規定するところによれば、

同法二九条に基づく許可(以下、この許可を「開発許可」という。)は、

あらかじめ申請に係る開発行為が

同法三三条所定の要件に適合しているかどうかを

公権的に判断する行為であって、

これを受けなければ適法に開発行為を行うことができないという

法的効果を有するものであるが、

許可に係る開発行為に関する工事が完了したときは、

開発許可の有する右の法的効果は消滅するものというべきである。

 

そこで、このような場合にも、

なお開発許可の取消しを求める法律上の利益があるか否かに

ついて検討するのに、同法八一条一項一号は、

建設大臣又は都道府県知事は、この法律若しくは

この法律に基づく命令の規定又はこれらの規定に

基づく処分に違反した者に対して、

違反を是正するため必要な措置を採ることを命ずることができる

(以下、この命令を「違反是正命令」という。)としているが、

同法二九条ないし三一条及び三三条の各規定に基づく

開発行為に関する規制の趣旨、目的にかんがみると、

同法は、三三条所定の要件に適合する場合に限って

開発行為を許容しているものと解するのが相当であるから、

客観的にみて同法三三条所定の要件に適合しない

開発行為について過って開発許可がされ、

右行為に関する工事がされたときは、

右工事を行った者は、同法八一条一項一号所定の

「この法律に違反した者」に該当するものというべきである。

したがって、建設大臣又は都道府県知事は、

右のような工事を行った者に対して、

同法八一条一項一号の規定に基づき違反是正命令を

発することができるから、開発許可の存在は、

違反是正命令を発する上において法的障害となるものではなく、また、

たとえ開発許可が違法であるとして判決で取り消されたとしても、

違反是正命令を発すべき法的拘束力を生ずるものでもないというべきである。

 

そうすると、開発行為に関する工事が完了し、

検査済証の交付もされた後においては、

開発許可が有する前記のようなその本来の効果は

既に消滅しており、他にその取消しを求める

法律上の利益を基礎付ける理由も存しないことになるから、

開発許可の取消しを求める訴えは、

その利益を欠くに至るものといわざるを得ない。

 

論旨は、違憲をいう点を含め、

これと異なる見解に立って原判決の法令違背をいうものにすぎず、

いずれも採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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