市長の判断の裁量権の逸脱,濫用

( 平成17年11月10日最高裁)

事件番号  平成13(行ヒ)243

 

この裁判は、

市が主導して外国都市との間の高速船の運航事業を目的として設立した

第3セクターに対しその経営破たん後に

地方自治法232条の2に定める公益上の必要があるとして

補助金を支出したことについて市長の判断に

裁量権の逸脱,濫用の違法があるとはいえないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

前記事実関係によれば,E市長は,姉妹都市との

人的,物的交流の緊密化,市の経済の発展等を目的として

本件事業を提唱し,本件6社に対して本件事業への協力を要請したこと,

市は,本件事業を遂行するため本件会社の設立を主導し,

本件会社の運営や資金の調達等に関して積極的な役割を果たしていたこと,

本件6社とHは,市の幹部職員から,

市が責任を持って対処するので迷惑を掛けない旨の説明を受けて

了承し本件借入金につき連帯保証をしたこと,市と本件会社は,

本件事業の業績が不振であったことから

本件高速船の運航を休止することとしたが,

Eに代わって市長となった上告人は,市が上記説明に反して

上記の連帯保証をした者に債務の履行をさせ

本件事業の清算に伴う損失を負担させる結果となることを避け,

もって本件事業を主導した市に対する協力と信頼にこたえるため,

本件第2補助金を支出することとしたことなどの

事情が認められるというのである。

 

このような本件事業の目的,市と本件事業とのかかわりの程度,

上記連帯保証がされた経緯,本件第2補助金の趣旨,

市の財政状況等に加え,上告人は本件第2補助金の支出について

市議会に説明し,本件第2補助金に係る予算案は,

市議会において特にその支出の当否が

審議された上で可決されたものであること,

本件第2補助金の支出は上告人その他の本件事業の関係者に対し

本件事業の清算とはかかわりのない

不正な利益をもたらすものとはうかがわれないことに照らすと,

上告人が本件第2補助金を支出したことにつき

公益上の必要があると判断したことは,その裁量権を逸脱し,

又は濫用したものと断ずべき程度に

不合理なものであるということはできないから,

本件第2補助金の支出は,地方自治法232条の2に違反し

違法なものであるということはできない。

 

本件第2補助金の支出に先立ち,市が本件借入金の

連帯保証人に応分の負担を負わせること等をしなかったとしても,

この結論を左右するものではない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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