建物所有権移転登記等請求事件

(平成12年12月19日最高裁)

事件番号  平成11(受)1197

 

最高裁判所の見解

土地賃借人がその土地上に所有する建物について抵当権を設定した場合には、

原則として、右抵当権の効力は当該土地の賃借権に及び、

右建物の買受人と土地賃借人との関係においては、

右建物の所有権とともに土地の賃借権も

買受人に移転するものと解するのが相当である

(最高裁昭和三九年(オ)第一〇三三号同四〇年五月四日第三小法廷判決・

民集一九巻四号八一一頁)。

 

しかしながら、建物について抵当権を設定した者が

その敷地の賃借権を有しない場合には、右抵当権の効力が

敷地の賃借権に及ぶと解する理由はなく、

右建物の買受人は、民法九四条二項、一一〇条の法意により

建物の所有権を取得することとなるときでも、

敷地の賃借権自体についても右の法意により

保護されるなどの事情がない限り、

建物の所有権とともに敷地の賃借権を取得するものではないというべきである。

 

これを本件についてみると、

原審の確定した前記事実及び記録にあらわれた

本件訴訟の経過に照らすと、H及びKは

本件土地に賃借権を有するものではなく、

本件建物はそのことを前提にして競売されたものであることが

うかがわれるのであって、被上告人は、

Kが本件建物について設定した根抵当権に基づく

不動産競売手続において、本件建物の所有権とともに

本件土地の賃借権を取得するに由ないものといわなければならない。

 

他方、前記事実によれば、

Eは右賃借権を上告人に贈与したというのであり、

被上告人側において、本件土地の賃借権について

民法九四条二項、一一〇条の法意により保護されるべき事情が

存することはうかがわれない。

 

そうであるとすれば、本件土地の賃借権者は上告人であり、

本件土地の所有者の所有権に基づく返還請求権を

代位行使することにより本件建物を収去して

本件土地を明け渡すことを求める上告人の請求は理由がある。

 

五 以上によれば、原審の判断には

法令の解釈適用を誤った違法があり、

右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。

 

論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。

そして、原審の確定した事実によれば、

上告人の請求を一部認容した第一審判決は正当として是認すべきであり、

被上告人の控訴はこれを棄却すべきものである。

 

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