建築基準法42条2項の指定により同条1項の道路とみなされている土地上に設置されたブロック塀の収去請求

(平成5年11月26日最高裁)

事件番号  平成1(オ)1792

 

最高裁判所の見解

上告人は、建築基準法四二条二項に規定する指定がされた

本件道路指定土地内に同法四四条一項に違反する

建築物である本件ブロック塀を設置したものであるが、

このことから直ちに、本件道路指定土地に隣接する

土地の地上建物の所有者である被上告人に、

本件ブロック塀の収去を求める私法上の権利があるということはできない。

 

原審は、これを肯定する理由として、

被上告人の人格権としての自由権が侵害されたとするが、

前示事実関係によれば、本件ブロック塀の内側に位置する

上告人の所有地のうち、上告人が従前設置していた

塀の内側の部分は、現実に道路として開設されておらず、

被上告人が通行していたわけではないから、右部分については、

自由に通行し得るという反射的利益自体が

生じていないというべきであるし

(最高裁昭和六二年(オ)第七四一号平成三年四月一九日第二小法廷判決・

裁判集民事一六二号四八九頁参照)、また、

本件ブロック塀の設置により既存の通路の幅員が狭められた範囲は

ブロック二枚分の幅の程度にとどまり、

本件ブロック塀の外側(南側)には

公道に通ずる通路があるというのであるから、

被上告人の日常生活に支障が生じたとはいえないことが明らかであり、

本件ブロック塀が設置されたことにより被上告人の

人格的利益が侵害されたものとは解し難い。

 

そうすると、同法四二条二項に規定する指定がされた土地を

通行等に利用することが、特定の私人にとっては、

自由権(人格権)として民法上の保護に値するとする

原審の判断の理論的当否について論ずるまでもなく、

被上告人の人格権が侵害されたことを前提として

被上告人の本訴請求のうち妨害排除請求を

認容すべきものとした原審の判断には、

法令の解釈適用を誤った違法があり、

この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

 

論旨は理由があり、他の上告理由について判断するまでもなく、

原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。

 

そして、前記説示に徴すれば、

被上告人の妨害排除請求は理由がないことに帰し、

これと結論を同じくする第一審判決は正当であるから、

右部分に関する被上告人の控訴は、

理由がなく、これを棄却すべきものである。

 

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