当選無効及び立候補禁止

(平成9年7月15日最高裁)

事件番号  平成9(行ツ)31

 

最高裁判所の見解

公職選挙法二五一条の三の規定は、

いわゆる連座の対象者を選挙運動の総括主宰者等に限っていた

従来の連座制では選挙犯罪を十分抑制することができなかったという

我が国における選挙の実態にかんがみ、

連座の対象者の範囲を拡大し、公職の候補者等に

組織的選挙運動管理者等が選挙犯罪を犯すことを防止するための

選挙浄化の義務を課し、公職の候補者等がこれを怠ったときは、

当該候補者等を制裁し、選挙の公明、適正を回復するという

趣旨で設けられたものと解するのが相当である。

 

このように、同条の規定は、公明かつ

適正な公職選挙の実現という極めて重要な法益を

実現するために定められたものであって、

その立法目的は合理的である。

 

また、右規定は、組織的選挙運動管理者等が

買収等の悪質な選挙犯罪を犯し禁錮以上の

刑に処せられたときに限って連座の効果を生じさせることとし、

立候補禁止の期間及びその対象となる選挙の範囲も限定し、さらに、

選挙犯罪がいわゆるおとり行為又は寝返り行為によってされた場合には

免責することとしているほか、候補者等が

当該組織的選挙運動管理者等による選挙犯罪行為の発生を

防止するため相当の注意を尽くすことにより

連座を免れることのできるみちも新たに設けているのである。

 

そうすると、このような規制は、これを全体としてみれば、

前記立法目的を達成するための手段として

必要かつ合理的なものというべきである。

 

したがって、公職選挙法二五一条の三の規定は、

憲法一三条、一四条、一五条一項、三一条、三二条、四三条一項及び

九三条二項に違反するものではない。

 

そして、原審の適法に確定した事実関係の下においては、

法二五一条の三の規定を本件に適用して上告人の当選を無効とし、

立候補の制限をすることも、

憲法の右各規定に違反しないものというべきである。

 

以上のように解すべきことは、

最高裁昭和三六年(オ)第一〇二七号同三七年三月一四日大法廷判決・

民集一六巻三号五三〇頁、最高裁昭和三六年(オ)第一一〇六号

同三七年三月一四日大法廷判決・民集一六巻三号五三七頁及び

最高裁昭和二九年(あ)第四三九号同三〇年二月九日大法廷判決・

刑集九巻二号二一七頁の趣旨に徴して明らかである

(最高裁平成八年(行ツ)第一九三号同九年三月一三日

第一小法廷判決・民集五一巻三号登載予定参照)。

 

右と同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。

そして、公職選挙法二五一条の三第一項所定の

組織的選挙運動管理者等の概念は、

同項に定義されたところに照らせば、

不明確であるということはできず、この点に関する所論違憲の主張は、

その前提を欠くものといわざるを得ない

(最高裁平成八年(行ツ)第一七四号同年一一月二六日

第三小法廷判決及び前掲第一小法廷判決参照)。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク